熱中症と学校・保育園・託児所の責任

さいとうゆたか弁護士

1 熱中症と学校・保育園・託児所側の賠償責任

学校での部活動や保育園・託児所で熱中症により重篤な障がいが残る事例が多くあります。

例えば、大阪高裁平成28年12月22日判決は、市立中学の生徒がバドミントン部の部活中に熱中症となり、脳梗塞を発症したという事案について、学校側の損害賠償責任を認めています。

裁判所は、学校側には、部活動の過程で温度計を設置し、その温度を確認しながら部活動の実施の可否、内容及び程度を決定すべき義務があるとし、最終的に裁判所に義務違反を認めたものです。日本体育協会の熱中症予防指針において、気温を把握した上で運動の中止についても配慮するとされていたことなどが根拠とされています。

なお、この訴訟で、学校側は、「部活動の指導教諭を監督する立場にある被控訴人中学校長には温度計を設置すべき義務があり、部活動の過程でWBGT等の温度を把握すべき義務があるとすると、部活動の指導教諭は、部活動の過程で常に温度計の示す温度を確認しながら、部活動の実施の可否、内容及び程度を決定すべきことが義務付けられることになるが、これは、本件事故発生当時を基準とすれば、個別部活動の活動実態を無視した余りに硬直的な判断であって不当である」と主張していました。

それに対し、裁判所は、「スポーツ活動中の熱中症を予防するための措置を講ずるには環境温度を認識することが前提となり、その把握が極めて重要であることは、平成二二年当時において学校関係者に既に周知されていたと認められるから、被控訴人中学校長には部活動を行う室内又は室外に温度計を設置すべき義務があり、部活動の過程でWBGT等の温度を把握することができる環境を整備すべき義務があったと解しても何ら不当ではないというべきである。」と学校側の主張を排斥しているところです。

また、宇都宮地裁令和2年6月3日判決は、託児所で幼児が熱中症で死亡した事故について、

・施設側が、生後9か月の乳児を3日間暑熱環境下においたこと

・3日目には体温が38度を超え、熱中症の症状を呈していることを認識したのに、水分補給や受診等の措置を取らなかった

という状況で、施設側の賠償責任を認めています(特別の立ち入り調査をしなかった市の賠償責任も認められています)。

熱中症により死亡や重度障害という重大な結果が生じかねないことから、学校・保育園・託児所は、温度計の設置、子どもにおいて熱中症の症状を呈したときの水分補給や受診等の対応を取らなければならず、それらが履行されない結果、損害が発生すると、損害賠償責任が生じうることになります。

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