秋篠宮家の婚約と憲法問題

さいとうゆたか弁護士

さて、秋篠宮家の婚約問題が新聞紙面を賑わしています。

そこでは成人皇族の婚約について当事者だけでは決められないという、一般国民ではありえない状況が生じています。

皇室典範第十条は、「立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。」と定めています。皇族女子についての規定はありませんから、現在婚約がストップしているのは法律的な障害があるからというより、事実上の力によりストップしているという評価が妥当でしょう。このような状態は憲法の精神に照らしてどうなのでしょうか。

この点、天皇・皇族について、一般国民より広く人権制限がなされうることについては余り争いはないように思います。

ここで検討すべきは皇室経済法第六条が「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基いて、これを算出する。」と定めていることです。皇室離脱の際には皇族費が一時金として払われます。これは一億円を超えると想定されます。この制度を前提とした場合、一定程度婚約の自由が制約されることはありうるように思います。

ただし、皇族費額は皇室会議で決定されます。よって、これはかなり極端な低額にすることも可能です。そうであれば、皇族費が支払われるから婚約の自由が制約されるという論理には飛躍がありそうです。

そのほか、国民により祝福される必要という議論もありえますが、そこまで行くと人権制約の根拠としては疑わしいものとなりそうです。

親が子どもを心配し縁談についてアドバイスすることは一般的にはありうるでしょうが、それを超えて当事者の意思を拘束することは憲法上は望ましくなさそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です