シュノーケリング中の事故と義務違反

報道によると、北越高校の生徒が、オーストラリアでの修学旅行中、シュノーケリングをしていて死亡したとのことです。

大変残念な事故であり、お悔やみ申し上げます。

シュノーケリングなど海でのレジャーについては、死亡につながることも多く、複数裁判例もあります。

最近のものとしては東京地裁平成27年9月2日判決があります。

この判決は、ツアー会社主催のツアーでシュノーケリングをしていた参加者が死亡したケースについてのものです。

参加者は、シュノーケリング中に溺水し、心肺停止となりました。

ご遺族がツアー会社などに対し債務不履行などを理由とした損害賠償訴訟を起こしたのです。

原告らは、

ⅰ 参加者にシュノーケル講習の受講をすすめず、技能把握や指導をしなかったこと

ⅱ ライフジャケットを着用させず、バディを組ませなかったこと

ⅲ 2名のみで監視を行ったため、発見が遅れたこと

ⅳ AEDをボートに搭載していなかったこと

をもって義務違反と主張しました。

裁判所は、ⅰについて、参加者らは初心者であることを会社側に伝えていなかった、会社側は参加者らが問題なくシュノーケルを扱っている様子を見て問題ないと考えた、このような状況からして一からシュノーケルの使用方法について教える必要はないとしました。

ⅱについては、ウェットスーツに浮力体としての機能があるためさらにライフジャケットを着用することが大人であった参加者に必要であったとは認められない、バディシステムについてはダイビングと違いシュノーケルについてまでバディシステムを組ませることが義務であったとはいえないとしました。

ⅲについては、溺死に至った時間が短いものであったこと、参加者がシュノーケリングと同じ姿勢で海面に浮いていたこと、参加者がシュノーケリング中にもがいたりばたついたりして助けを求める様子もなかったことなどを理由に、義務違反があったとは言えないとしました。

ⅳについては、これをボートに搭載してなかったことをもって注意義務違反ということはできないし、AEDを搭載していたら救命が可能だったかどうかも不明だとしました。

以上からすると、同判決からは、シュノーケリングの技量を判断し、それに応じた講習などを行う義務は認めているようにも取れます。

他方、大人についてライフジャケットを着用させる義務、バディを組ませる義務、AEDを搭載させる義務は否定しているようです。

一定の監視人員を確保すべき義務については明確な判断を示していないといえるでしょう。

いずれにしても、シュノーケリングが高度の危険性を伴うものであることからすると、最低限

ⅰ 技量を確認し、それに応じた講習などを行う義務

ⅱ 十分な監視人員を確保すべき義務

は認められるべきものと考えます。

関係業者や学校関係者の十分な態勢整備に期待します。

 

 

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