医師の過労死を防止する時間外労働規制こそ必要

厚生労働省は、医師の労働時間規制について、残業上限を年間960時間、研修医などについてはさらに緩和する意向だと報道されています。

しかし、960時間では医師が恒常的に過労死ラインで働くことになります。

また、研修医について特別に残業時間規制を緩和することは、新潟市民病院で研修医が過労自殺した経過から到底許されません。

そこで、12月13日、私は、新潟市民病院医師過労死事件のご遺族の意向を受け、厚生労働省に下記の意見書を郵送にて提出しました。

すべての人が過労死しないで済む社会を作るため、厚生労働省には再考を願いたいと思います。

 

 

            意   見   書

 

                   2018年(平成30年)12月13日

 

厚生労働大臣殿

 

新潟市民病院医師過労死事件代理人

           〒951-8116

            新潟市中央区東中通一番町86-51 

            新潟東中通ビル5階 さいとうゆたか法律事務所

                 電話 025-211-4854

              ファックス 025-211-4857

        新潟市民病院医師過労死事件代理人 弁護士  齋  藤  裕 

 

           意  見  の  趣  旨

 新潟市民病院医師過労死事件の遺族の意向を踏まえ、医師の労働時間規制にあたっては研修医も含め年間で960時間未満、平均月80時間未満を上限とすること、着実な医師の増加策を取ることを求めます。

 

           意  見  の  理  由 

1 報道によると、厚生労働省は、12月5日に開催された検討会において、医師の労働時間規制について年間で残業平均月80時間を上限としつつ、研修医などについては例外とする提案をしたとのことです。本日の報道では年960時間という上限となるとされています。

2 しかし、年960時間という上限は過労死ラインに達するものであり、労災の危険性を含むものであり、到底容認できません。

3 また、新潟市民病院においては、後期研修医が最大月162時間の時間外労働を行い、結果として過労死に至っています。

  技量向上の意欲が強く、無理を重ねがちな研修医について、他の医師より規制を緩くするのでは、同様の事態が発生する危険性が大きいといわなくてはなりません。よって、研修医の特別扱いはすべきではありません。

 なお、厚生労働省は、技能向上の必要性を理由に研修医を例外とする意向のようです。

しかし、医師の働き方改革に関する検討会に提出された「病院勤務医の勤務実態調査(タイムスタディ調査)」によると、当直ありの場合の初期研修医の調査時間は平均29時間53分、当直時間の平均は15時間32分(うち診療は6時間23分)であり、研修医の労働時間のかなりの部分が当直時間であることが明らかです。

このように、研修医の労働時間の多くは、待機時間を多く含む当直時間なのであり、研修医において技能向上の必要があるため他の医師より労働時間が必要とされるということにはなりません。

4 なお、医師不足の現状において、医師の労働時間について特殊な考慮が必要とされることはありえます。また、研修の必要性ももちろんです。

  よって、診療時間の2割前後を占める事務作業などのタスクシフティングを早急に推し進めると共に、着実な医師数の増加策を取ることも求めます。 

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