財産分与と強制執行妨害

さいとうゆたか弁護士

1 財産分与と強制執行妨害

財産分与が過剰な場合、強制執行妨害罪とされることがありえます。

刑法96条の2は以下のとおり定めます。

第九十六条の二 強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。

一 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為
 同罪は、強制執行を免れる目的で財産を隠匿などすることを対象とするものですが、仮装譲渡も処罰の対象となります。
 ですから、財産分与名目の財産の移転であっても、それが強制執行を免れる目的でなされた仮装のものであれば、同罪に該当する可能性があります。
 この点、民事事件ですが、財産分与が債権者からの財産隠しとして認定された判決として、前橋地裁桐生支部平成28年1月12日判決があります(同判決は東京高裁、最高裁でも維持されています)。
 同判決は以下のとおりの判断を示しています。
「上記認定事実によれば,Aと被告の実質的夫婦共有財産は,本件土地建物がある他にめぼしい財産はなく,財産形成におけるAの寄与が5割を下回ると認める証拠もないことからすると,財産分与として,本件土地全部を被告に分与したことは,本件土地建物の2分の1相当額を超える部分について相当性を欠くものといわざるを得ない。」
 このように、他に財産がない状況であること、過剰な分与であったことを理由として財産分与の効力に疑問を投げかけています。
 強制執行妨害目的財産損壊等罪についても、刑事事件であるためより厳格な判断が要求されるとしても、基本的には同様の要素が考慮されると考えられます。
 例えば、強制執行がなされうる状況において、離婚の実態がない、大きな財産を他方配偶者に合理的理由なく半分を大きく超える割合で分与するなどの要素が強制執行妨害目的財産損壊罪等を裏付ける事実となると考えられます。

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