労災における資料収集

交通事故

労災で損害賠償請求をする場合、もっとも重要なのは労災の手続で作成された復命書などの資料となります。

これは行政機関個人情報により開示請求することができます。

しかし、問題は、開示請求をしてもほぼ墨塗りされて出てくるということです。

審査請求をし、さらに再審査請求をした場合には、労基署の認定根拠となる資料が一式渡してもらえることになります。

ですから、争う余地の残る事件については再審査請求までやるというのが重要です。

再審査請求まで行かず、手元に十分な資料がない場合、損害賠償訴訟の中で資料を取り寄せることが考えられます。

まずは、裁判所から行政機関に労災関係文書の送付を要請する文書送付嘱託という手続があります。

裁判所から文書送付嘱託をした場合、労基署は関係者の同意を確認し、文書を裁判所に出すことになります。

しかし、同意がないものは出てきませんし、災害発生の原因などの部分も出てこないことになります。

文書送付嘱託でも十分な情報が得られない場合、文書提出命令を申し立てることになります。

これは裁判所からの文書を出すようにとの命令です。

例えば、最高裁平成17年10月14日決定は、以下のように述べて、復命書のうち関係者からの聴取内容などがそのまま記載されているわけでない部分について提出がなされるべきものとしています。

「②の情報に係る部分は,上記のとおり,行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されたものであり,その記載内容に照らして,これが本案事件において提出されると,行政の自由な意思決定が阻害され,公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在することが明らかである。しかしながら,①の情報に係る部分は,上記のとおり,これが本案事件において提出されると,関係者との信頼関係が損なわれ,公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるということができるものではあるが,(ア)本件文書には,被告会社の代表取締役や労働者らから聴取した内容がそのまま記載されたり,引用されたりしているわけではなく,本件調査担当者において,他の調査結果を総合し,その判断により上記聴取内容を取捨選択して,その分析評価と一体化させたものが記載されていること,(イ)調査担当者には,事業場に立ち入り,関係者に質問し,帳簿,書類その他の物件を検査するなどの権限があり(労働安全衛生法91条,94条),労働基準監督署長等には,事業者,労働者等に対し,必要な事項を報告させ,又は出頭を命ずる権限があり(同法100条),これらに応じない者は罰金に処せられることとされていること(同法120条4号,5号)などにかんがみると,①の情報に係る部分が本案事件において提出されても,関係者の信頼を著しく損なうことになるということはできないし,以後調査担当者が労働災害に関する調査を行うに当たって関係者の協力を得ることが著しく困難となるということもできない。また,上記部分の提出によって災害調査復命書の記載内容に実質的な影響が生ずるとは考えられない。したがって,①の情報に係る部分が本案事件において提出されることによって公務の遂行に著しい支障が生ずるおそれが具体的に存在するということはできない。
そうすると,本件文書のうち,②の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の「その提出により(中略)公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に該当しないとはいえないが,①の情報に係る部分はこれに該当しないというべきであるから,本件文書のうち,②の情報に係る部分については同号に基づく提出義務が認められないが,①の情報に係る部分については上記提出義務が認められなければならない。」

 

このように、文書提出命令により、開示範囲を広げることができる可能性もあります。

事実関係に争いがある労災事件では、文書提出命令の申立ても視野に入れた立証活動が必要なのです。

 

労災でお悩みの方は、さいとうゆたか法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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