むつ市役所でのマスクなし対応と安全配慮義務

さいとうゆたか弁護士

報道によると、青森県むつ市役所は、窓口での対応をする職員について、原則としてマスクを着用しないよう指導し、好評だとのことです。

現在、むつ保健所管内ではインフルエンザ警報が発令されています。

ですから、窓口に来る不特定多数の人の中のうち少なくない人がインフルエンザにり患しているとみるべきでしょう。

まだり患していない人がインフルエンザ感染を防止するためにマスク着用はあまり意味がないと言われることもあります。

しかし、例えば、自治医科大学附属さいたま医療センターのサイトには以下の記載があります。

「風邪やインフルエンザ患者の近くで看病するなど咳やくしゃみのしぶきを直接あびる可能性がある場合には予防効果があると考えられます。」https://www.jichi.ac.jp/center/sinryoka/kansen/taisaku_04.html

そうであれば、患者かもしれない人と対面する窓口職員がマスクをすることはインフルエンザ予防の観点で有用である可能性があると考えます。

それにもかかわらず、職員にノーマスクを求めるむつ市の対応は使用者としての安全配慮義務との観点で問題があるように思います。

例えば、医療従事者が患者からC型肝炎ウイルスに感染した事例についての大阪地裁平成16年4月12日判決は、以下のとおり述べます。

「使用者は,雇用契約上の付随義務として,労働者が労務提供のため設置された場所,設備若しくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において,その職種,労務内容,労務提供場所等の具体的状況等に応じて,労働者の生命,身体等を危険から保護するように配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っている。
そして,原告が勤務していた病院等の医療現場においては,医療機関としての性質上,様々な身体・精神症状を呈する患者を受け入れ,その治療のために種々の医療器具や危険な薬品を使用したり,急患等の緊急事態にも対応する必要があるなど,患者のみならず,診療・看護に従事する職員にも危険が生ずる場合があり,特に,常に病原体による感染の危険にさらされているのであるから,使用者にあっては,管理体制を整え,適切な感染予防処置を講じるなど,被用者が安全に業務に従事できるように配慮すべき義務があるというべきである。」

状況は多少違いますが、むつ市役所についても、職員のインフルエンザ感染の危険を防止する義務はあるはずであり、それと真逆のノーマスク要請は使用者としての義務違反と評価される余地があると考えます。

 

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