何年別居すると婚姻関係が破綻したと言えるのか(離婚、不貞)

離婚問題

1 何年別居すると婚姻関係が破綻したと言えるのか

離婚について合意がない場合、一方当事者が離婚調停後に離婚訴訟で離婚を認めてもらうためには離婚理由が必要です。

別居が長期間にわたったことによる婚姻関係の破綻はその離婚理由の代表的なものです。

また、誰かと結婚している人が他の人と性行為をすれば不貞とされ、慰謝料が発生します。

しかし、形式上は結婚していても、婚姻関係が破綻している場合、それ以降に性行為があっても不貞とはされず、慰謝料は発生しません。

ですから、どのような場合に婚姻関係が破綻したと言えるのか、どの程度の期間別居すれば婚姻関係が破綻したと言えるのかが問題です。

婚姻後の同居期間が短ければ2年も別居していなくても婚姻関係破綻とされる可能性はあります。

他方、同居期間が長ければ、3年程度別居していても婚姻関係は破綻していないとされる可能性があります。

不貞による慰謝料請求の前提として婚姻関係の破綻の有無が問題となった事例についての東京地裁平成30年1月23日判決は、以下のとおり述べて、3年程度の別居があっても婚姻関係は破綻していないとしました。

 

「平成25年2月の別居を前提として,原告とAの婚姻関係が平成28年1月以前に破綻したと認められるか判断するに,原告とAの別居期間は,平成25年2月から平成27年12月まで2年11か月であるが,婚姻届出後の同居期間は平成14年10月から平成25年1月まで10年4か月に及んでおり,別居期間自体から直ちに原告とAの婚姻関係が破綻したと認めることは困難である。そして,Aは,原告の婚姻生活における態度,価値観に不満を抱いてはいたものの,原告とAの価値観の相違が婚姻生活において必ずしも顕在化する状況ではなかったため,原告とAの間で同居中に調整が図られたことがなかったことに加え,別居後も原告とAとの間で,定期的にメールのやり取りが続いており,原告が婚姻関係の修復のための努力を払っていたことに照らせば,Aが原告に離婚協議書の送付,離婚届の直接の交付,夫婦関係調整調停の申立てを行い,離婚に向けた働きかけを次第に強めており,婚姻関係の継続に向けた意思が乏しかったと認められることを考慮しても,原告とAの婚姻関係は,平成28年1月の時点で破綻の危機に瀕していたと認められるにとどまり,既に破綻していたとまではなお認めるに足りない。」

ここでは、別居前の同居期間が10年以上であったこと、メールのやりとりによる夫婦関係復縁への努力がなされてきたことが評価され、ぎりぎり婚姻関係が破綻していないとされていることがわかります。

別居期間だけではなく、同居期間、別居中の夫婦のやりとりを総合評価して破綻の有無を判断する必要があるのです。

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