GPSによる不倫調査とストーカー

離婚問題

1 GPSによる不倫調査がストーカーに該当するとされた事例

最近ではGPSにより不貞・不倫の調査を行う方も増えており、その調査結果が不貞・不倫の認定の上で重要な証拠となることもあります。

しかし、他方、GPSの利用などがストーカーとして処罰などされる可能性もあることには留意が必要です。

福岡高裁平成29年9月22日判決は、以下のとおり、GPSを利用して不倫調査をした件についてストーカー規正法違反となるとしました。

「本件においては,前記認定事実にある一連の事実経過からすると,被告人は,A及びBに対し,上記のGPS機器の取付け回収や,ビデオカメラの設置・録画を通じて得た情報を用いて,同人らがそれぞれ使用している自動車に貼り紙をしたり,Aにメールを送信したりして,単に不貞関係の解消を求めるのではなく,そのために必要とはいえないAの通勤距離や(事実5),Bの勤務先,同人が利用するダイビングショップを知っていること(事実6),貼り紙を剥がす動画を見たこと(事実7),A方に赴き,軽貨物車の動きを見たこと(事実9)など,監視していると思わせるような事項を告げたり,Bが使用する自動車に貼り紙をして,義務のないことを要求したりする行為(事実10)に及んでいる。」
「こうした本件の事実関係のもとでは,一連の行為である上記の事実1ないし4,8及び11についても,2条の目的があると推認することができる。そして,後述するとおり,それらの行為は,ストーカー規制法2条1項1号の「見張り」行為に該当するし,行為の性質上,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法(ストーカー規制法2条2項,以下,「不安方法」という。)によるものであることも優に認定できる。」
「原判決が,事実1ないし4,8及び11について,有罪認定しなかった点は,不貞調査目的があり,その目的の範囲内の行為については,2条の目的があってもストーカー規制法の適用がないという法令の解釈をしたものか,あるいは,恋愛や怨恨の感情を伴っていても,それは2条の目的とは異質のものであるという事実認定をしたものか,必ずしも明確ではないが,2条の目的が認められないとした原判決の判断は,少なくとも事実を誤認しており,それが判決に影響を及ぼすことが明らかである。検察官の論旨には理由がある。」判決文のうち重要な部分は末尾に引用しました。

同判決は、不貞調査目的だからといってストーカー規正法による処罰対象から外れることにはならないとしました。

その上で、この事案では、調査結果を用いて自動車に張り紙などをしていることを踏まえ、恋愛感情が満たされなかったことについての怨恨を晴らすなどの目的を認定しています。

GPS調査自体でただちにストーカー規正法違反とはならないでしょうが、その調査結果を慰謝料や離婚請求以外に利用した場合、処罰対象となるということには留意が必要です。

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