有給休暇の強制取得日を休日だった年末年始にしてもよいのか?

2019年4月1日に働き方改革関連法の一部が施行されることになります。

一定の場合に、5日の年次有給休暇の取得を義務付ける有給休暇の強制取得制度も始まります。

ところが、この有給休暇日を、もともと休みだった年末年始の休日に当てはめる方法を紹介する社会保険労務士などもいます。

このような方法が長時間労働削減のために制定されたはずの働き方改革関連法の趣旨に反することは明らかです。

また、多くの場合に違法となる可能性があります。

まず、そもそも年末年始の休日が就業規則で定められている場合とそうではない場合で区別して考える必要があります。

就業規則で定められている場合、以下の労働契約法の条項に沿った形で就業規則変更をする必要があります。

 

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
 就業規則変更の合理性がある場合、労働者との合意がある場合に就業規則変更の効力が認められることになります。
 そうはいっても、もともと休日だった日に有給休暇を当てはめる方法に合理性が認められるとは考えにくいので、労働者との合意がない限り就業規則変更の効力は認めがたいと考えます。
 また、就業規則で定められていないとき、多くの場合では明示黙示の労働契約により休日が定められていると考えます。
 労働契約の変更については、労働契約法第八条が「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」と定めているところです。
 よって、年末年始がもともと休日となっている職場で、そこに有給休暇を当てはめるためには、ほとんどの場合について労働者との合意が必要だと考えられます。
 そして、この合意の前提としては、労働者の真摯な意思が必要だと考えられます。
 長時間労働を削減するという働き方改革関連法の趣旨、従来の休日が奪われることで労働者にとって得なことがないことを踏まえると、かなり厳しく労働者の意思の真摯性が問われると思います。
 ということで、もともと休みだった年末年始の休日に有給休暇を当てはめるというやり方が効力を持つ場合は多くはないように思います。
 それはおくとしても、労働者としては、使用者がそのようなやり方をしてきた場合、明確に「ノー」ということが重要です。

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