後遺障害等級5級の場合の慰謝料(交通事故)

交通事故

1 後遺障害等級5級の慰謝料

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻2019によると、交通事故で5級の後遺障害が認定された場合の慰謝料は1400万円が目安とされます。

しかし、実際には、事情により、これより高額の慰謝料が認められることもあります。

例えば、大阪地裁平成7年7月14日判決は、5級の後遺障害等級の事案で、後遺障害慰謝料1750万円を認定しています。

そこでは、以下のような後遺障害が残ったことが理由とされています。

「原告は、同年七月一一日、症状固定の診断を受けたが、その際の症状は、自覚症状が、歩行障害、学習能力の低下で、精神・神経の障害、他覚症状及び検査結果は、①運動機能は、前頭葉失調による歩行バランスが悪く(階段昇降は手すりが必要)、関節可動域、筋力としてはほぼ正常域だが、肩関節にやや機能障害を認める。②知能は、CTスキャンで、左前頭葉、側頭葉に低吸収域を認め、萎縮があり、IQは八〇(総合評価としては下位レベル)、特に計算は、二桁程度の和差算、乗除算が可能で、短期記銘力に問題がある。③EEGは、ほぼ正常範囲であるが、時々徐波を認める。とのことであって、他に、頭部に長さ二〇センチメートル、幅一センチメートルの脱毛部位を認め、頸部に長さ四センチメートル×幅一センチメートルの気管切開瘢痕を認め、右そけい部に、一センチメートル×一センチメートルのケロイドが認められ、これらの障害は、今後改善の見込みはなく、問題は、歩行障害(失調歩行)、知能低下であると判断された。」
「現在、原告は、□□高校定時制に父親ないし兄の車による送り迎えによって通学しているが、歩行障害は残存し、Bが腕を貸しても八〇〇メートル程度しか歩けず、一人で歩行できるのは五〇メートル程度で、ちょっとしたことで転倒し、階段も、手すりを持って一段ずつ上がる状態で、一人でバスの昇降もできず、しゃがんだり、立ち上がることができないので、和式トイレは使用できない。また、授業にも、ほとんどついていっていない状態で、会話の速度は遅く、込み入った内容の説明はできず、ほどんどBとしか会話せず、Bからみて、文字を通じての理解力は、小学校三、四年生程度しかないものである。」

判決は、優秀な中学生だった被害者が、事故後、小学生程度の理解力しか有しなくなったとしています。

これに加え、被害者の年齢、すなわち後遺障害による苦しみを長年月味わわないといけないことも考慮されたのではないかと考えます。

後遺障害の程度、被害者の年齢をきちんと主張立証し、適切な慰謝料を認定させることが重要です。

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