後遺障害等級5級の場合の慰謝料(交通事故)

交通事故

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻2019によると、交通事故で5級の後遺障害が認定された場合の慰謝料は1400万円が目安とされます。

しかし、実際には、事情により、これより高額の慰謝料が認められることもあります。

例えば、大阪地裁平成7年7月14日判決は、5級の後遺障害等級の事案で、後遺障害慰謝料1750万円を認定しています。

そこでは、末尾に引用したような後遺障害が残ったことが理由とされています。

判決は、優秀な中学生だった被害者が、事故後、小学生程度の理解力しか有しなくなったとしています。

これに加え、被害者の年齢、すなわち後遺障害による苦しみを長年月味わわないといけないことも考慮されたのではないかと考えます。

後遺障害の程度、被害者の年齢をきちんと主張立証し、適切な慰謝料を認定させることが重要です。

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

「原告(昭和五二年○月○○日生、本件事故当時一三歳、女性)は、本件事故当時、多くの科目が五段階評価で五ないし四の、成績優秀で、健康な公立中学生であった。
原告は、本件事故により、頭部外傷Ⅲ型(症状型)、頭蓋骨骨折、左硬膜下血腫、右硬膜下、硬膜外血腫、急性脳腫脹、脳挫傷、遷延性意識障害の傷害を受け、平成三年八月一日三島救命救急センターに入院し、左右の開頭血腫除去、外減圧手術を受け、ICUで全身及び脳循環管理の集中管理を受け、同年九月三日頭蓋形成術を受け、同月一〇日に同病院を退院した。同日、リハビリを受けるため、星ケ丘厚生年金病院に転院したが、その際の症状は、右片麻痺、運動性失語症、著名な見当識障害が認められ、CT上、左前頭葉、側頭葉に低吸収域が認められた。星ケ丘厚生年金病院に通院中、リハビリに励むかたわら、同四年一月二〇日から院内学級に通い、中学教育を受けた。原告の母であるBは、三島救命救急センターに入院当初から、ほとんど泊りこみで原告の看護及びリハビリの介助に当たっていたが、院内学級に通う頃から、原告の自立を促すためもあって、徐々に、昼に通う形に切り換えた。同年八月二一日に同病院を退院したが、その際、歩行能力としては、前頭葉失調のためバランスが悪く、スピード、耐久性ともに正常以下で、右上肢機能は向上したが、右肩関節機能は、低下しており、学習能力、集中力が低下していた。中学三年に復学するかたわら、同月二二日から同六年七月一一日まで、同病院に通院し、リハビリを受けた。また、退院後、外傷後てんかんに対して、抗けいれん剤の投与を受けていたところ、EEGで、時々徐波が認められたが、スパイク波は認められず、同五年一一月二二日、抗けいれん剤服用が中止された。」
「原告は、復学後、父であるA運転の車に乗って通学し、同乗のBが、校門から教室まで送り迎えしていた。同五年四月□□高校の定時制に通学を開始したところ、その際は、両手杖(ロフストランド)を使用していたが、同六年秋頃から杖の使用なく歩行できるようになった。」
「原告は、同年七月一一日、症状固定の診断を受けたが、その際の症状は、自覚症状が、歩行障害、学習能力の低下で、精神・神経の障害、他覚症状及び検査結果は、①運動機能は、前頭葉失調による歩行バランスが悪く(階段昇降は手すりが必要)、関節可動域、筋力としてはほぼ正常域だが、肩関節にやや機能障害を認める。②知能は、CTスキャンで、左前頭葉、側頭葉に低吸収域を認め、萎縮があり、IQは八〇(総合評価としては下位レベル)、特に計算は、二桁程度の和差算、乗除算が可能で、短期記銘力に問題がある。③EEGは、ほぼ正常範囲であるが、時々徐波を認める。とのことであって、他に、頭部に長さ二〇センチメートル、幅一センチメートルの脱毛部位を認め、頸部に長さ四センチメートル×幅一センチメートルの気管切開瘢痕を認め、右そけい部に、一センチメートル×一センチメートルのケロイドが認められ、これらの障害は、今後改善の見込みはなく、問題は、歩行障害(失調歩行)、知能低下であると判断された。」
「現在、原告は、□□高校定時制に父親ないし兄の車による送り迎えによって通学しているが、歩行障害は残存し、Bが腕を貸しても八〇〇メートル程度しか歩けず、一人で歩行できるのは五〇メートル程度で、ちょっとしたことで転倒し、階段も、手すりを持って一段ずつ上がる状態で、一人でバスの昇降もできず、しゃがんだり、立ち上がることができないので、和式トイレは使用できない。また、授業にも、ほとんどついていっていない状態で、会話の速度は遅く、込み入った内容の説明はできず、ほどんどBとしか会話せず、Bからみて、文字を通じての理解力は、小学校三、四年生程度しかないものである。」

 

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