後遺障害等級8級の場合の慰謝料(交通事故)

交通事故

1 一般的な基準

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)2019(いわゆる赤本)によると、後遺障害等級8級の場合の慰謝料は830万円とされています。

しかし、事情により、これより高額な慰謝料が認定されることもあります。

2 例外的に高額な慰謝料を認める裁判例

 

例えば、大阪地裁平成17年1月31日判決は、以下のとおり述べて、8級の後遺障害の慰謝料として1200万円を認めています。

「原告の後遺障害は併合して等級表8級に該当するが,女性でありながら生涯にわたり人工肛門を装着しなければならないこと,骨盤骨の変形によって,産道が狭窄し,通常分娩が困難な状況にあるといえること,腹部や大腿部などに複数の醜状痕を残していること,その他本件にあらわれた諸般の事情を勘案すれば,本件事故による後遺障害によって原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は1200万円が相当である。」

 

このように、女性でありながら人工肛門を生涯にわたり装着しなければならないこと、通常分娩が困難となったことなど、かなり生活上大きな弊害が生じうることを理由にかなり高額な慰謝料が認められています。

 

また、東京地裁平成4年1月21日判決は、以下のとおり述べて、8級の後遺障害の慰謝料として1000万円を認めています。

「原告X1は、本件事故により生じた前示右目失明の後遺障害により、遠近感、視野等に影響をきたし、学校の体育授業において行われる球技が困難になるなど、その日常生活に支障をきたすことが多くなったこと、前示外斜視について、友人からも指摘されるなどしてひどく気にするようになり、原告X4ら両親に対してこれを直すための手術を懇願したため、平成三年七月二五日に昭和病院において手術を受けたが、右手術は一応成功したものの、手術時の激痛から本人としては二度と受けたくないとのものであったこと等の事実が認められ、これらに、右前側頭部の手術痕の存在、入通院経過、後遺障害の内容(右外斜視は一種の外貌の醜状と認められる。)、程度、将来における不利益の見込み、家族である他の原告らに与えた影響、将来への不安感等その他本件に現れた一切の事実を斟酌すれば、本件事故による原告X1の精神的苦痛を慰謝するための金額は、右金額と認めるのが相当である。」

 

このように、球技など日常生活に困難が生じたことが高額慰謝料の理由とされています。

ただし、この事例では、被害者が事故当時10歳であり、長い期間後遺障害に苦しむことを考慮したとも考えられます。

以上のとおり、適切な慰謝料額を認定させるには、後遺障害の生活への支障、被害者の年齢などを主張立証する必要があるということになります。

3 おわりに

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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