帰宅中のいじめと学校側の責任

さいたま地裁川越支部平成28年12月22日判決は、部活動後の帰宅中のいじめについて、学校側の損害賠償責任を認めています。

学校の外でのいじめについては、学校側の管理が届きにくいという考えもありうるところですが、それでも学校側の賠償責任を認めたことは参考になると考えられます。

同判決は、以下のとおり述べます。

「以上によれば,本件教員らは,原告X1が,よだれを垂らしてしまうことなどを理由に,周囲の生徒から継続的なからかいの対象となっていたことが暴力を伴う事件にまで発展している事実を十分に認識し得たと認めるのが相当である。」
「さらに,上記第3の1(1)コ及びシによれば,平成23年の冬休み前頃までに,被告Y2らが原告X1を貯水池に入らせたり,被告Y2が原告X1に対して金銭を要求するという,被告Y2を中心とする原告X1に対する深刻な嫌がらせ行為が発生している。本件教員らは,これを認識していなかったが,本件中学校の他の生徒はこれらの事実を知っており,上記本件教員らが認識していた事実を前提に,周囲の生徒に事情を聞くなどの調査をすれば,容易に知り得た事実というべきである。そうであるとすると,本件中学校の教員らは,原告X1の暴力事件や原告X1の特性に加え,被告Y2が暴力傾向を危惧されていたことを考慮すれば,被告Y2をはじめとする周囲の生徒により,原告X1に対するからかいや嫌がらせが暴力を伴う事件にまで発展する事態を予見し得たと評価できる。」
「原告X1と被告少年らは,いずれも同学年の野球部員であり,学校教育の場である校内や部活動中だけでなく,これと密接に関連する放課後や部活動終了後の帰宅までの間などの生活場面においても,行動を共にすることが多いものである。そうであるとすると,本件教員らは,学校教育の場のみならず,これと密接に関連する生活場面といえる部活動終了後帰宅までの間の生活場面においても,原告X1に対するからかいや嫌がらせが暴力を伴う事件にまで発展する事態を予見し得たと認めるのが相当である。」

このように、被害生徒がからかいの対象となっていたこと、暴力を伴う事案にまで発展していたこと、暴力を伴う事件にまで発展することを学校側も予見できたこと、被害生徒と加害生徒が野球部員であるため帰宅までの生活場面において行動をともにする場面が多かったことを踏まえ、帰宅までの場面でからかいや嫌がらせが暴力を伴う事件に発生する事態を予見しうるものとしました。

被害生徒と加害生徒が同じ野球部員であるという特殊性はあるものの、学校での人間関係が学校外まで延長しうる実態を踏まえた裁判例として、参考となる裁判例かと思います。

いじめや学校事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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