後遺障害等級10級の慰謝料(交通事故)

交通事故

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)2019(いわゆる赤本)は、後遺障害等級10級の場合の慰謝料の目安を550万円としています。

しかし、具体的事情に応じて、より高額な慰謝料が認められることもあります。

例えば、東京地裁平成18年12月25日判決は、以下のとおり述べて、800万円の慰謝料を認めています。

「後遺障害慰謝料については,前述のように,後遺障害による労働能力喪失率は40%と認められること,左肩関節の機能障害について,労働能力に影響を与えないものの,運動可能領域の制限が認められること(甲19),そして,眼の障害が日常生活に及ぼす様々な支障をも考慮して,800万円と認める。」

ここで眼の障害が日常生活に及ぼす様々な支障について同判決は以下のとおり述べています。

「原告は,現在,眼を正面に向けた場合,上方を見るときにはさほど支障はないが,下方を見るときには,たとえば,歩行時,車に乗る時,階段を下りる時等に,足元が二重に見えるといった,支障が生じており,階段を踏み外したこともあった。二重に見える状態が続くと,めまいを起こすことがある。パート外務員として,パソコンを操作する必要があるときは,上目遣いで操作しており,そのため,パソコンを使用したときは目に疲労感があり,道路の小さな段差を見逃すことがある。」

医師も、「両内下転制限あり,Hess上も両上斜筋マヒ。右よりも左の上斜筋マヒが強く,正面視でも回旋斜視がみられる。両眼視,単眼視とも正常な像が得られず」,「プリズム眼鏡による矯正を行っているが,読書時,歩行時いずれも困難あり」と診断している。また,同医師は,原告の症状について,「両眼の上斜筋麻痺のため中心及び下転時は両眼視が不可能であり,距離感,立体感がつかめない状況にあり,これは対象が静的な場合の検査の結果であるが,日常視すなわち動的対象物に対しては,より大きな不都合が生じていると推測できる。看護師というヒトに対する看護,処置を行う職業柄,このような両眼視機能異常が存在する状態は本人の負担が大きいのみならず,医療上のリスクも大きいと考えられる。比較的短時間の作業は別として,詳細な視力及び両眼視を要する業務は不可能と医学的に判断できる。」とも述べています。

ここで示されているような眼の障害の日常生活や職業生活への影響と、後遺障害等級認定まではされていない障害があることを考慮し、比較的高額の慰謝料が認定されています。

適正な慰謝料額を算定させるためには、後遺障害が及ぼす支障を具体的に説明することが重要であることがわかります。

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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