教員のうつ病発症と労災

教員は長時間労働が著しい職種の一つであり、多くの教員が過労のためうつ病を発症しています。

東京地裁平成29年5月17日判決は、高校教諭のうつ病発症について労災であると認定しています。

参考になると思われるので、以下、紹介します。

同判決は、以下のように述べ、業務起因性を肯定しています。

まず、時間外労働時間については、労基署の認定をそのまま引いています。

「横浜北労働基準監督署は,第1審原告の時間外労働時間を,次のとおり認定した。
平成22年12月12日から同23年1月10日まで 91時間45分
平成23年1月11日から同年2月9日まで    146時間40分
平成23年2月10日から同年3月11日まで   140時間45分
平成23年3月12日から同年4月10日まで   102時間50分
平成23年4月11日から同年5月10日まで   132時間30分
平成23年5月11日から同年6月9日まで    109時間55分」

これを踏まえ、同判決は、「発症前6か月間の時間外労働時間は平均して月間120時間以上(少ないときで月91時間45分,多いときで月146時間40分)である。時間外労働時間は長く,それによる心理的負担は強かった。」としています。

時間外労働時間の大部分は、水泳部の顧問又は県高体連の仕事に従事していたものです。

しかし、同判決は、「県高体連が主催する対外試合の競技運営は県内各高等学校の部活動顧問教諭のボランティア的な活動にほぼ全面的に依存し,県高体連の各競技専門部の役員の供給源はこれら顧問教諭にほぼ限られ,競技指導及び競技運営に熱心で役員就任適齢期のベテランであった第1審原告の県高体連水泳専門部役員就任は第1審被告もやむを得ないものとして承認していた。また,県高体連が機能しなければ,対外試合が開催できず,A高校の生徒が対外試合で好成績を残す機会が奪われる。そうすると,県高体連の仕事(対外試合の競技運営及び会議出席)は,業務起因性の判断上は,第1審被告における本来の業務に準じるものとして扱うのが常識的である。」として、高体連の仕事も含めて業務起因性の判断をしています。

その他の要素も含め、同判決は、うつ病の業務起因性を認めています。

同判決は、特に、高体連という学外の団体での仕事も含め業務起因性を認めているところに参考価値があると考えます。

 

労災でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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