後遺障害等級12級の慰謝料(交通事故)

交通事故

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)(いわゆる赤本)では、後遺障害等級12級の後遺障害の慰謝料について290万円を目安としています。

しかし、事情に応じてこれより高額な慰謝料が認められることもあります。

例えば、大阪地裁平成25年7月11日判決は、以下のとおり述べ、後遺障害慰謝料400万円を認めました。

「就労期間中における平均労働能力喪失率については14%と考えられるものの,これは永続性についての疑問を加味して平準化したものであり,痛みをはじめとした症状自体は相当に強いものであると認められ,就労への現実的な影響も無視できない。少なくとも精神的苦痛に関しては労働能力喪失率14%として考えられる平均的な事案(後遺障害12級相当)を大きく上回るものというべきであり,その他諸般の事情も考慮し,本件については特段の事情があるものとして,通常の後遺障害12級相当とされる事案の一般的な金額よりは大きく増額することが相当であり,この金額を相当とする。」

前提となる症状については判決に以下の記載があります。

「(ア) 後遺障害診断書(甲21)
a 神経ブロック療法を施行するも症状改善なし
b 非常に強いアロディニアを伴う烈しい痛みあり
c 左肩関節は著しい可動域制限あり
d 左肩から上肢への温度低下あり」

その上で、同判決は、以下のとおり評価します。

「以上の諸事情を考慮すると,原告の症状については局所の神経症状にとどまらず,ある程度全身的な交感神経等の異常によって生じている可能性が高いところであり,臨床段階においてはCRPSの可能性が高いものとして治療方針が立てられるべき状態にあったとはいえるが,類型的にCRPSとされる患者が有する症状の一部を欠いており,医学的に大多数の医師がCRPSと判断するかは必ずしも明らかでないところである。そして,後遺障害として原告の症状を評価するとなると,その症状は強く影響は大きいと考えられる一方で,骨萎縮などの物理的な廃用性を伴っておらず,器質的な症状を前提とする上位等級の各障害と比較した場合,制限の程度や永続の蓋然性というところで,どうしても一定の差があるものと考えざるを得ないところである。そうすると,原告の後遺障害については,症状固定時における労働能力喪失率が12級13号事案より高く評価されうること,症状永続の蓋然性に疑問があり,就労年限時の労働能力喪失率が14%を大きく下回りうることの両方を織り込んだ上で,全体を平準化し,就労年限までの全期間について,平均14%の労働能力喪失が生じるものと認めるのが相当である。」

 

つまり、CRPSと断言はできないもののその可能性がある状態ということです。

このように、症状において激しい痛みがあり、かつ、CRPSの可能性もあるという点において通常の14級の後遺障害の事案とは異なるとされ、高い慰謝料が認定されたと考えられます。

症状を具体的に主張立証することの重要性が浮かび上がる判決かと思います。

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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