屋根からの転落と損害賠償責任(労災)

交通事故

屋根での作業中の転落という労災事故はよくある労災であり、裁判例も多くあります。

比較的最近の裁判例としては、東京地裁平成28年5月31日判決があります。

同判決は、以下のとおり述べます。

「スレート葺きの屋根に上がる作業を行う際には,踏み抜きによる落下事故の発生する危険が生ずることが明らかである。したがって,当該落下事故の発生を防止するため,当該作業に従事する者の安全帯を親綱に掛けさせ,さらに,当該屋根に上がる際には,その支柱等の上を移動させる等の配慮が必要となると考えられる。しかしながら,上記(1)において認定したとおり,Cは,安全帯に親綱を通していない状態のBに対し,本件スレート屋根上に登ってはならない旨の特段の注意をすることもなく,陸屋根の上に垂れ下がり,又は本件スレート屋根に引っ掛かった状態の親綱を本件スレート屋根に上げるように指示し,しかも,全ての親綱を本件スレート屋根の上に上げる作業が終わる前に,Bの動静に注意を向けることもなく,自らの作業をしていたというのである。このような本件事故の発生時における状況に鑑みると,破産会社においてBに対する安全配慮義務を尽くしていたものということはできず,その結果,本件事故が発生したものといわざるをえない。」

このように、スレート葺の屋根上での作業については、安全帯を親綱にかけさせ、さらに、屋根にあがる際には支柱などの上を移動させるようにする義務を認めたうえで、義務違反があったとしました。

その上で、以下のように述べ、過失相殺をしています。

「本件スレート屋根に上がる場合に踏み抜きによる落下の危険が生ずることはBにとっても予見することが可能であったものということができるところ,安全帯を親綱に掛ける等の措置を全く講ずることなく,漫然と本件スレート屋根に上がったことが本件事故の発生に起因したことは否めない。
そうすると,Bには相応の過失を認めることができるというべきところ,上記において認定し,及び説示した本件事故の発生時における状況等に鑑みると,その過失相殺の割合は,2割と認めるのが相当である。」

ここでは2割の過失相殺が認められています。

一般的に、安全帯を親綱にかけるなどしないで労働者が屋根から転落した場合、一定の過失相殺が認められるのが一般です。

当該事案では、使用者側から安全帯を親綱にかけることについて特段の注意などがなされなかったことが考慮され、比較的低い割合での過失相殺とされています。

過失割合は、このほか、労働者の経験年数などの要素で判断されることになるのが通常かと考えられます。

 

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