相続法改正 その3 配偶者居住権

さいとうゆたか弁護士

1 配偶者居住権

相続法改正によって配偶者短期居住権はもうけられましたが、基本的には遺産分割等までのものであり、暫定的なものです。

相続法改正では、これとは別に、より長期的な居住を認める配偶者居住権についての規定も設けられました。

配偶者居住権は、被相続人の財産に属した建物に相続開始のときに居住していた場合について、その建物の全部について使用及び収益する権利です。

残された配偶者が従来住んでいた建物を遺産分割などで取得すると、法定相続分などに従うとその他の預貯金などの遺産を取得できないという場合がありえます。

配偶者居住権は、配偶者が従来住んでいた建物への居住を認められつつ、その他の遺産についても相応に取得できるようにするために作られた権利です。

これは、遺産分割により配偶者居住権を取得するものとされた場合、配偶者居住権が遺贈の目的とされたり死因贈与契約の目的とされた場合に認められます。

遺産分割については、協議・調停、審判によることがありえます。

審判によるには、

ⅰ 配偶者に配偶者居住権を取得させることについて相続人全員の合意がある場合、

ⅱ 配偶者が配偶者居住権の取得を希望しており、かつ、居住建物の所有者が受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために配偶者居住権を取得させるために特に必要があると認められる場合

のいずれかの要件を満たす必要があります。

かなり厳しい要件を満たさないと認められないことがわかります。

配偶者居住権は、原則として、配偶者の終身継続することになります。

しかし、遺言、遺産分割の協議・調停・審判で存続期間を自由に定めることもできます。

配偶者居住権が認められると、その財産的価値に相当する金額を相続したものとして扱われます。

例えば、法定相続分に応じて遺産分割をすべき場合には、配偶者居住権の財産的価値分については既に配偶者が取得しているという前提で遺産分割がなされるべきことになります。

しかし、現時点では、配偶者居住権の財産的価値を評価する手法が確立しているとはいえないとされています。

ですから、遺言書で配偶者居住権を設定しようとする場合には、配偶者が不測の損害(建物以外の遺産をあまり取得できないなど)を被る可能性があることを覚悟すべきことになります。

2 新潟で相続のご相談は弁護士齋藤裕へ

持ち戻し免除の意思表示の推定についての記事

被相続人のために貢献した人に対する給付についての記事

被相続人の預貯金の払い戻し簡素化についての記事

配偶者短期居住権についての記事

自筆証書遺言についての記事

もご参照ください。

遺産分割や相続でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です