治療費の相当性(一点単価問題、交通事故)

交通事故

交通事故で治療が必要となった場合、その治療費も損害賠償の対象となるのが通常です。

ところで、加害者のいる交通事故の場合、健康保険を使用せず、自由診療扱いとなることが多いです。

そして、自由診療の場合、治療費をいくらに設定するかは基本的には医療機関の自由となります(1点単価をいくらとするかということです)。

しかし、裁判例の中には、1点単価が高すぎる場合、治療費の賠償を一部認めないこともあります。

例えば、福岡高裁宮崎支部平成9年3月12日判決は、以下のとおり述べて、1点20円での治療費の賠償を認めず、1点15円での治療費の範囲内で賠償を認めました。

「控訴人は、本件事故により、右下腿脱臼開放骨折、右下腿、足部挫滅創、頭部打撲などの傷害を負い、被控訴人病院に運ばれ、手術室で感染予防のためブラッシング洗浄、皮膚の切り取りなどが行われ、同病院に入院し、一月二二日に本手術、二月一日に抜糸、ギブス装着が行われ、二月二五日にはギブスをはずしリハビリが開始され、四月一五日退院したことが認められ、右治療の内容(右治療が担当医師の先進的あるいは特殊な医療行為によるものと認めるに足りる証拠はない。)、本件経緯等に照らすと、本件においては、健康保険の一点単価の一・五倍の一点単価一五円が相当であると解する。」

他方、東京地裁平成9年8月29日判決は、以下のとおり述べて、1点単価25円を高額すぎるとはいえないとしました。

「原告X1が原告X2医大の救命救急センターに搬送された時点での全身状態は重篤で緊急を要する状況にあり、レントゲン写真撮影などにより骨盤解放骨折等の診断がされた後に、直ちに集中治療室で全身管理が行われている。その後、速やかに手術も行われ、手術から三日目には集中治療室から救命救急センター病棟に移り、本件事故から一一日目にはリハビリ目的で他院に転送されており、適切な治療が行われたことが窺われる。
このように重篤な状態にあり緊急な治療が求められた原告X1に対し、適切な治療が施され、一一日間という比較的短期間に退院していることを考慮すると、本件においては、一点単価二五点で計算した原告X2医大の治療費の請求を不当に高額ということはできない。」

つまり、重篤な状態であったこと、治療期間が短いことを考慮し、1点単価25円は高額すぎないと認定しています。

このように、1点いくらまでなら損害賠償の対象となるということではなく、治療経過によっていくらまで認容されるか違ってくるということになります。

そうすると、事実上一点いくらにするかという選択肢のない患者からすると、自由診療の治療費が高い場合、保険診療にするという選択肢も考えた方がよいということになりそうです。

 

交通事故でお悩みの方は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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