バス運転手の過労死(労災)

長野地裁平成28年1月22日判決は、観光バス運転手が脳出血で死亡した事件について、労災との判断を示しました。

同事案では、労働時間は基準に達していませんでしたが、他の要素から業務起因性を認定しています。

同判決は、まず、以下のとおり、連続勤務で、休暇が少なく、疲労回復ができないことについて判断をします。

「本件疾病発症前のおおむね1か月間における亡Aの具体的な勤務状況(上記1(2))をみても,亡Aの取得した休暇は合計7日であり,平成20年7月19日から同月27日までの9日間,同月29日から同年8月1日までの4日間及び同月3日から同月8日までの6日間,それぞれ深夜または早朝にわたる業務や宿泊を伴う業務に連続して従事する状況であった。また,亡Aが本件疾病発症前の1か月間に2日以上続けて休暇を取得したのは,平成20年8月9日ないし同月11日並びに同月14日及び同月15日に止まり(それ以前においては,同年7月13日及び同月14日〈乙19,20〉),亡Aは,1か月の間,ほとんど多くとも1日の休みを挟んで本件業務を継続していたことになる。このような亡Aの勤務状況及び上記(ア)のような本件業務の特性に照らすと,1日の休暇によって本件業務による疲労を完全に回復することは困難といえるから,亡Aは,この間に疲労を回復できないまま次の業務に就労するような状況であったと推認される。」

また、不規則勤務であった、「休憩時間ではあるものの完全に業務から解放されていたとはいえない部分があったのであって,亡Aは労働時間以外にも一定の精神的緊張を負っていた」、乗客への対応も必要であった、宿泊を伴う業務が含まれていた、「本件業務は,上記のとおり,時には深夜,長時間にわたって乗客を乗せてバスを運転するというものであり,精神的緊張を伴う勤務に該当するもの」などと認定し、「本件業務は,認定基準における負荷要因のうち,不規則な勤務,拘束時間の長い勤務,出張の多い業務,交替制勤務・深夜勤務及び精神的緊張を伴う業務に該当するものと解するのが相当である。」との判断を示し、労災との認定をしました。

観光バス運転手については比較的同様の勤務をしている人が多いと思われ、参考になる裁判例かと思います。

また、労働時間以外の要素で過労死を認定した事例としての価値も高いと思います。

 

労災や過労死でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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