プールでの事故と損害賠償

報道によると、京都市の保育所のプールで園児が死亡した事件について、京都地裁が園側に損害賠償の支払いを命じたとのことです。

今回の判決が同様の事態を招かないようにするためのきっかけとなることを祈念しています。

小学生や園児がプールで溺死した事件については少なくない裁判例が出されています。

近時のものとしては、横浜地裁平成29年4月13日判決があります。

同判決は、幼稚園のプール授業中に園児が溺死した事件についてのものです。

同判決は、担任教諭の責任について以下のとおり述べます。

「被告Aには,④組の担任として,園児を監視し,その生命身体の安全に配慮すべき義務があったにもかかわらず,本件事故当時,プールサイドに散乱したビート板・遊具の片付けに気を取られ,本件プール内の園児の動静を注視せず,この義務を怠ったという過失があったということができる。」

このように担任教諭については、プール内の園児の動静に注視する義務違反があったとし、過失を認めています。

しかし、園長についての義務違反は認めませんでした。

ご遺族は、園長らについて,①指導教育義務違反,②監視体制構築義務違反があると主張しました。

しかし、判決は、指導教育義務は果たしていたなどとして園長の義務違反を認めなかったのです。

しかし、結論としては、園長には代理監督者として、園を運営する法人には使用者責任として賠償責任が認められています。

その他、大阪地裁昭和62年3月9日判決も園児のプールでの死亡事故について賠償責任を認めています。

同判決は以下のとおり述べています。

「監視者としては事故防止のためいささかの気の緩みも許されないとの厳しい心構え、使命感をもつてその実行に遺漏のないよう期すベきであつたにもかかわらず、被告らの右知識が抽象的・観念的なものにとどまつていたことと軌を一にすること、そして、これらのことは、公平を自己の監視下に置いていた被告中井が他の監視者の誰にも声をかけずにその場を離れ、また、プールサイドにいた被告青木を始め他の監視者らのいずれもが、右被告中井及び同被告の監視下にあつた園児らに対して注意を払わず、被告中井が意識不明の公平を抱きあげて急を知らせるまで、公平の行動に全く気付いていないことに明瞭に現れているといえるのであり、以上の事実によると、本件事故は、被告中井・同青木ら前記監視担当四教諭らの過失により右事故を防止できなかつたものであること、すなわち、同被告らは過失に基づく共同不法行為者としての責めを免れず、さらに、同被告らの右不法行為が被告学園の業務遂行中にされたこと明白であるから、被告学園は右被告らの使用者として不法行為責任を免れえないから、右被告らと共同不法行為責任を負うベきことになる。」

つまりここでも動静注視を怠っていたことが責任原因とされています。

園児が溺死する危険性を考慮すると、園側にはプールで園児を泳がす際には常時かつ高度の注視義務があるといえるのです。

京都地裁判決もそれを踏襲したものであり、妥当というべきでしょう。

 

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