妻が男性の家で過ごすなどしたものの不貞を認めなかった裁判例

離婚問題

不貞・不倫は人が見ていないところでされます。

ですから、その立証は、不貞・不倫を推認させる事情からなされることも多いです。

例えば、異性同士が一つ屋根の下一定時間を過ごすというのも不貞を推認する事情となります。

しかし、東京地裁平成28年10月4日判決は、妻が男性の家に相当時間いたにも関わらず、不貞を認めませんでした。

この事案では、妻が男性と手をつないで歩いたりする様子が明らかとなっています。

しかし、裁判所は、以下のとおり述べ、それは不貞を示すものではないとします。

「Aが原告宅から転居した後の平成27年7月17日,Aは被告とともに台東区松が谷のかっぱ橋道具街にある容器販売店「竹本容器」に行った際,被告がAと楽しげに会話しながら,Aの臀部や腰部に右手を回したり,Aと手をつないだりしながら歩行したことが認められ,被告とAが相当親密な様子であったものということができる。」
「しかしながら,被告らが上記販売店に行ったのは化粧品を充てんする容器を探す目的であるし(被告本人),被告らが新たな事業の準備の過程で気分が高揚したり,被告が従前から従事していた派遣ホストの所作をしたりした結果,かかる相当親密な態度に出たものともみることができる。」
「そうすると,被告らのかかる態度をもって,被告らの不貞行為の事実まで推認することは困難である」

また、同判決は、以下のとおり、妻が男性宅に滞在したことも不貞を推認させるものではないとします。

「被告及びAは遅くとも同日午後7時半ころ,被告の自宅に一緒に戻ったが,午後9時半ころ,被告の自宅のバルコニー脇の部屋や玄関ドア隣の窓付近の照明が暗かったりしたことがあったこと,③Aは同日午後10時すぎころ,被告の自宅から退出して近所のカフェに行き,被告とともに食事をしてから同日午後11時すぎに帰宅したが,上記カフェを出る際に被告と手をつないで歩いたりして相当親密な様子であったこと,④Aは,翌12日も,午後1時前ころから午後1時半すぎころまでの間は被告の自宅で,午後2時前ころから午後4時前ころまでの間はAの自宅で,合計2時間半程度を被告とともに過ごしたが,午後2時前ころにはブラウスとスカートであったAの服装が,自宅内で着替え,午後4時前ころにはワンピースに変わっていたことがそれぞれ認められる。」
「そうすると,被告とAとは,同月11日,12日において,相当長時間一緒に過ごし,11日には深夜まで滞在していたものであったから,両者の関係は相当親密であるとも評価することができる。」
「しかしながら,上記滞在中に,被告がAと肉体関係を持った事実を認めるに足りる証拠はない反面,証拠(乙5~9,証人A,被告本人)によれば,被告とAとは,同月11日,12日の両日,被告の自宅で,サンプルの成分や包装に関して打合せを行ったり,Aが持参したサンプルのテストをしたりした事実が認められる。」
「そうすると,Aが同月11日夜に被告の自宅を訪れていた時間帯に,被告の自宅の部屋の一部の照明が暗くなった事実や,Aが同月12日午後に自宅で被告と一緒にいる間に着替えをした事実があったとしても,これらの事実から被告とAが肉体関係を持った事実を推認するのは困難であり,原告の主張は推測の域を出るものではないといわざるをえない。」

 

気分が高揚したから手をつないだというのは、ややこじつけの感があり、手をつなぐなどしたことはかなり親密な関係にあったことを示すと考えられます。

その上で、妻が男性の家に深夜も含め滞在していたことは不貞を推認させるようにも思われ、判決の結論には疑問もあります。

しかし、実際、異性同士が一つ屋根の下にいたというだけで不貞を認めない裁判例も多く、不貞を立証する場合には不可的な事情の立証が重要だと思われます。

 

不貞・不倫や離婚でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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