左示指切断の事故による精神障害発症(労災)

交通事故

大きな労災事故が発生した場合、その精神的ショックにより身体的な傷害・障害だけではなく、精神的な障害を発症することもありえます。

京都地裁平成26年7月3日判決は、ゴボウの袋詰めの機械の操作中に回転歯に挟まれ左示指切断の事故に遭った被災者が適応障害を発症したことについて、以下のとおり労災と認定しました。

「自らの指が機械の回転歯によって切断されるという体験は,激しい痛みを伴う衝撃的なものであることは容易に推察されるところであり,一生のうちに何度も体験する出来事ではないと解される。また,前記1(4)のとおり,原告の左示指については,切断指再接着術によっても生着しせず,断端形成術によってその長さを約3cm短くしなければならなかったというのであり,その後遺症の程度は軽くはない。さらに,前記1(4)のとおり,原告は,本件事故後,約3年半にわたって,精神障害の治療のために医療機関を受診する間,断続的にフラッシュバックや不安感,恐怖感,浅眠等に苦しめられており,フラッシュバックや恐怖感については,現在でも止んでいない。加えて,原告は,本件事故により,本件工場での仕事がおよそ不可能になったとは解されないものの,本件事故は,原告の就労や日常生活に一定の支障を来すものであると考えられる。
他方,原告と同種の労働者とは,機械を用いた青果の袋詰めを行うような工場で働く女性(60歳程度)であり,労働者のグループのリーダーではあったものの,パートタイマー従業員として働いている者である。そのような者は,正社員ほど責任ある仕事を任されることは少なく,したがって,自己の業務及びその危険性に対する心構えの程度も相対的に低いと解される。
以上にみた本件事故の状況,本件左示指切断の程度,本件事故後の治療経過及び原告の症状経過,社会復帰の困難性並びに原告と同種の労働者の特質に鑑みれば,本件事故に係る心理的負荷の強度はこれを「強」と評価すべきであって,本件事故は,それ自体,原告と同種の労働者に対して,「主観的な苦悩と情緒障害の状態であり,通常社会的な機能と行為を妨げ,重大な生活の変化に対して,あるいはストレス性の多い生活上の出来事(重篤な身体の存在あるいはその可能性を含む。)の結果に対して順応が生ずる時期に発生する」適応障害を発症させるに足りる程度の心理的負荷をもたらすものであったというべきである。」

このように、身体が損傷される労災に引き続き精神障害が発症し、労災として認定される場合もありますので、精神に異変を感じたら早期受診をする必要があります。

 

労災でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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