将来介護費(交通事故)

交通事故

1 交通事故と将来介護費

交通事故で介護が必要となった場合、症状固定まではもとより、それ以降についても平均余命の間、将来介護費を認めることがあります。

例えば、大阪地裁平成31年1月30日判決は、四肢完全麻痺の被害者について、以下のように述べて、将来介護費の賠償を認めました。

「前記第2の2,上記2によれば,原告X1は,症状固定時(平成27年3月23日)58歳であり,以後,平均余命の約25年(平成27年簡易生命表では25.27年)にわたり,在宅による随時介護を要するものと認められる。そして,現在,原告X1の在宅介護を担っている原告X2は,上記症状固定時59歳であるから,以後8年間(対応するライプニッツ係数は6.4632。同時点で67歳。)は,同原告による介護が期待でき,その介護費としては日額6000円が相当であるが,その後の17年(対応するライプニッツ係数は7.6307〔=14.0939-6.4632〕)は,職業介護人による介護を要し,その介護費としては日額8000円が相当である。そうすると,原告X1の将来介護費用は,3643万6052円(=6000円×365日×6.4632+8000円×365日×7.6307)となる。」

このように、親族による介護と職業介護人による介護とを分け、前者については1日6000円、後者については1日8000円を認めています。

また、大阪地裁平成31年1月24日判決は、失見当識などの後遺障害の残った被害者について、以下のとおり述べて、将来介護費の賠償を認めました。

「平成21年5月30日から平成30年4月30日までの3258日間のうち入院していた102日間を除く3156日間に要した介護費は,合計3616万7168円であり,日額1万1459円となる。そして,症状固定時(平成21年5月29日)の原告の年齢が76歳であることに照らせば,以後,平均余命の約14年(平成21年簡易生命表によれば14.67年)につき同様の介護を要すると認められ,ライプニッツ方式により年5分の割合による中間利息を控除すると(14年に対応する係数は9.8986),原告の将来介護費は,4140万1240円(11,459×365×9.8986)となる。」

このように、現実に介護費用を払った実績があると、それが将来介護費の基準となることもあります。

その場合には、従来、介護保険給付があったとしても、将来介護費においては考慮されないのが通常です。

このように将来介護費については、認められる場合でも計算方法が区々です。

適正な賠償を受けるためには弁護士の対応が不可欠です。

なお、後遺障害のある被害者が死亡した場合の将来介護費もご参照ください。

2 介護施設入所の場合と居住費、食費、近親者付添費、入所一時金

介護施設入所の場合、介護施設に支払う費用が将来介護費の基準となります。

ここで問題となるのが、介護施設に入らなくても要する可能性のある居住費、食費です。

介護施設に入ることによりアパートを引き払い賃料がかからなくなった場合には居住費は賠償対象となりにくく、持ち家に住んでいた人の場合は賠償対象となりやすいと言えるでしょう(赤本下巻2021所収の齊藤恒久裁判官「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題」61頁)。世帯全体で考え、事故前後で居住費が増えるかどうかというのが一般的な基準となると思われます。

食費については、施設入所しなくても要するものであるとして損害とは認めにくいものの、胃ろうにおける栄養剤の費用については損害として認めた裁判例があります(赤本下巻2021所収の齊藤恒久裁判官「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題」61頁)。

近親者付添費については、施設スタッフが介護を行うことになるため、原則として認められないとされます(赤本下巻2021所収の齊藤恒久裁判官「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題」62頁)。被害者の不穏等のために付添が強く求められる場合には賠償を認めるべきではないかと思います。

入所一時金について、赤本下巻2021所収の齊藤恒久裁判官「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題」62頁は、特養に入所できないような状況があり、入所一時金のある施設に入らざるを得ない場合に認められるとします。しかし、なぜ特養に入るか、入所一時金を要する施設に入るか、被害者の選択権が認められないのでしょうか。入所一時金も原則損害賠償の対象となることを認め、ただしそのうち住居費部分等については賠償として認めないという扱いが妥当と考えます。

3 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ

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