バドミントンでの事故と損害賠償(スポーツ事故)

交通事故

東京高裁平成30年9月12日判決は、バドミントンのダブルス競技において、後衛の選手が振ったラケットが前衛の選手に当たった事故について、後衛の選手の賠償責任を認めました。

バドミントンの試合中にラケットが当たったことについて賠償責任を認める事例は珍しいので、ご紹介いたします。

同判決は、まず、前衛と後衛がほぼ並ぶ場所にいたため、後衛としては前衛の動静を把握することができ、前衛がシャトルを打つために動く可能性があることを予見することができたのに、前衛にラケットが衝突しないように配慮することをせず、ラケットを前衛の左目にぶつけ、傷害を負わせたとして、過失を認めました。

後衛は、バドミントンの競技者は、事故の危険を引き受けて競技に参加していると主張しました。

しかし、裁判所は、「バドミントン競技の場合、ボクシング等の競技とは異なり、バドミントン競技の競技者が、同協議に伴う他の競技者の故意又は過失により発生する一定の危険を当然に引き受けてこれに参加しているとまではいえ」ないとして、危険の引き受けにより後衛の責任が減じられることはないとしました。

ところで、さいたま地裁平成30年1月26日判決は、地域運動会のリングリレー中の衝突事故について、以下のような判断を示しています。

「本件競技はスポーツの一類型というべきであり,本件事故は,その過程で生じたものであるところ,スポーツの参加者は,一般に,そのスポーツに伴う危険について承知しており,その危険の引受けをしていると解されるから,当該スポーツ中の加害行為については,加害者の故意・重過失によって行われたり,危険防止のためのルールに重大な違反をして行われたりしたような特段の事情のある場合を除いて,違法性が阻却されると解するのが相当である。上記1(1)イのとおり,原告は,過去に10回程度,本件運動会において本件競技に参加しており,本件運動会前にEやFと共に本件競技の練習をするなどしていたのであるから,本件競技の性質やルールを熟知していたものと推認されるのであり,本件競技に伴う危険について承知しており,その危険を引き受けしていたというべきである。」

このようにリングリレーにおいて危険の引き受けを認め、責任を否定する根拠としています。

ですから、東京高裁判決がバドミントンにおいて危険の引き受けを否定した点については、異論もありうるところですし、必ずしも今後バドミントン事故において危険の引き受け法理が適用されないと断言できるものではないと考えます。

それでもバドミントン競技中における競技者の注意義務について明確化した意義はあり、参考になる裁判例かと思います。

 

スポーツ事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

 

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