ルート営業従事者の過労死(労災)

さいとうゆたか弁護士

福岡高裁宮崎支部平成29年8月23日判決は、ルート営業をしていた労働者が心臓性突然死をした事例について、労災として業務起因性を認めました。

比較的労働時間が短い労働者について過労死を認めた事例として参考になると思われるので、ご紹介します。

同判決は、以下のとおり述べ、労働者が心臓性突然死をしたことについて業務起因性を認めました。

「亡Aは、本件発症の6か月前から、平均して2時間を超える時間外労働が恒常化していたところ、本件発症前の約1か月間については、亡Aの所属していた営業部の繁忙期とされる4月末から5月初めの連休前後の時期が含まれており、平成24年4月23日から同月28日の週は終業時刻が所定終業時刻を1時間ないし3時間以上超える残業が続いていたほか、連休中を含めて連続して休日が取れたのは1回(同年5月12日及び13日)のみであったことに加えて、同月16日に本件クレームが発生した後は、亡Aは、通常業務に加えて本件クレームへの対応を余儀なくされ、時間外労働を強いられていた(その時間外労働時間が推計による時間(終業時刻を午後6時52分として推計した時間)を超えていた可能性が高い。)のである。異常のような亡Aの本件発症前の業務の内容、態様、とりわけ本件発症直前の業務の内容、態様に鑑みると、亡Aは、営業部の連休前後の繁忙期に続いて起きた本件クレームへの対応などの業務により強度の精神的、身体的負荷を受けていて、本件発症直前には強度のストレス、睡眠不足、疲労の状態にあったと認められるのであり、これらが本件発症の誘因となったとみるのが合理的かつ自然」というべきである」

このように、労働時間のみならず、クレームへの対応、労働時間の変化という要素も考慮して業務起因性の判断をしています。

なお、判決は、当該労働者は、ブルガダ症候群であり、その心停止がブルガダ症候群による心室細動によって引き起こされた可能性は否定できないとしつつ、それでも上記の事情から、「本件発症は亡Aが従事していた業務に内在する危険が現実化したものと評価するに十分であり、本件発症と亡Aの業務の間に相当因果関係を認めることができる」としました。

労基署においては、かなり労働時間に偏重した判断がなされがちです。

しかし、裁判所においては、それ以外の要素も含め判断され、労基署での判断が覆ることもあります。

労働時間が十分ではない事案においては、それ以外の労働の量的・質的要素を適切に主張立証することが重要なのです。

 

労災、過労死でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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