暴力と有責配偶者からの離婚請求

離婚問題

有責配偶者からの離婚請求は原則認められないことになります。

暴力をふるった配偶者が有責配偶者となりうることは言うまでもありません。

しかし、他の事由同様、程度問題という側面もあります。

例えば、福岡家庭裁判所行橋支部平成30年6月19日判決は、以下のとおり述べて、暴力をふるった側の配偶者からの離婚請求を認めました。

まず、判決は、暴力について以下のとおり認定します。

「原告が,被告を話合いの席につかせようとして,肩を押さえ込むなどしたことが2,3回あり,そのうちの1回では,被告が暴れてその肩が外れるなどし,被告が通院したことが認められる(原告本人尋問)。」

その上で、以下のとおり述べて、当事者間の婚姻関係が完全に破綻したものと認定しています。

「原告と被告とは,遅くとも,原告が本社勤務を命じられ,社宅での同居が可能であったのに被告がこれを拒否した平成21年頃から別居していたと評価できる。この点は,平成29年6月に原告が被告の住む原告の実家に戻った後も同様といえる。したがって,原告と被告の別居期間は約9年もの長期に及ぶ。
この間,原告が2度にわたって離婚調停を申し立てて離婚を求めたのに対し,被告はそれを明示的又は黙示的に拒否し続けた。しかしながら,その離婚調停の取り下げや不成立を経ても,原被告間において,同居の再開あるいは家庭内別居の解消に向けて具体的な行動をとった形跡がない。
そして,原告は,被告との離婚の決意を更に固めて本件訴訟を提起した。これに対し,被告は答弁書を提出したきり応答はなく,その答弁書の内容も,原告のことを最低の人間などと非難するものであって,そこに愛情は感じられない。
そうすると,原告と被告の婚姻関係はもはや修復の見込みはなく,完全に破たんしていると言わざるを得ない。
したがって,原告と被告との間には,少なくとも,婚姻を継続し難い重大な事由があるといえる。」

さらに、以下のとおり述べ、暴力が不和の中で偶発的に生じたものでしかないとして、有責配偶者からの離婚請求に該当しないとしています。

「なお,被告が,答弁書において,原告から長年にわたり暴力を受けていた旨などを主張していることから,原告が有責配偶者に該当して,その離婚請求が信義則上許されないか否かも検討するが,被告はこの点に係る証拠を何ら提出しない。
そうすると,暴力に関しても,前記認定事実のとおり,原告の認める限度で認められるに過ぎず,その暴力も被告との不和の中で偶発的に発生したものといえるから,原告による離婚請求を否定しなければならないほど非難されるべきものとは認められない。その余の主張も同様である。」

 

不貞も同様ですが、程度によっては暴力があっても有責配偶者からの離婚請求とはされないということもあるということです。

ですから、暴力をした側が提訴した離婚訴訟においては、暴力の有無のみならず、その程度についてもきちんと争う必要があるということになります。

 

離婚でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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