十分なサポートのないまま困難な仕事をさせたことが安全配慮義務違反に該当するとされた事例(労災、過労死)

交通事故

徳島地裁平成25年7月18日判決は、設計業務に従事していた労働者がうつ病のため自殺した事件について、会社が十分なサポートもないなま困難な仕事を労働者にさせたとして、会社側に安全配慮義務違反を認めています。

同判決は、以下のとおり述べます。

「Cは,一郎が会社2に赴任する前から単身赴任に伴う家庭生活上の不安をもらし,赴任後も,一郎の言動から異様な印象を受けることがあったというのであるから,本件出向に伴う精神的な負担がかかっていることを十分認識しあるいは認識できたものであり,そのような状態で強い仕事の負荷をかけた場合,うつ病に罹患する危険があることは,予見可能であったというべきである。そして,会社2において,一郎はUFSの開発をリードすることが期待されていたものの,一郎は会社2に初めて出向し,UFSも初めて扱う機械であり,会社2においてその構造等を知る技術者もおらず,会社2に出向してきたばかりで会社2のCADにも不慣れであったのであるから,UFSの改良等を一郎に指示する場合,十分な余裕をもって,サポート体制等を事前に準備した上でする必要があったが,Cは,一郎一人に対し,著しく困難な納期を設定した上で12等の改良を命じ,一郎のうつ病を発症させたものであるから,会社2は,労働契約上の安全配慮義務に違反したというべきである。そして,うつ病に罹患した場合,自殺念慮が出現する蓋然性が高いとされているところ,上記認定判断のとおり,会社2の安全配慮義務違反により,一郎は遅くとも5月18日ころまでにうつ病に罹患し,うつ病が治ることなく11月24日ころ自殺を図って死亡したものであるから,会社2の安全配慮義務違反と一郎のうつ病の罹患及び自殺との間には相当因果関係が認められる。」

このように、同判決は、もともと労働者において家庭生活上の不安もあり異様な言動をしていたこと、労働者は出向してきたばかりで不慣れなので開発業務に従事させる場合にはサポート体制等を事前に準備すべきであったのにしなかったこと、困難な納期での業務をさせたこと、そのためうつ病り患に至ったことなどから、会社に安全配慮義務違反を認めました。

徳島地裁判決自体は、開発業務に関わる労働者についてのものですが、サポートもなく困難な業務に従事させられるという事態は他の業種の労働者にもありうるところかと思います。

ですから、同判決は、幅広い業種について安全配慮義務の内容を明らかにした意義があると思われます。

 

労災や過労死でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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