将来介護費用と定期金賠償(交通事故)

交通事故

1 将来介護費用と定期金賠償

交通事故で介護が必要となった場合、介護費用は死亡時まで継続的に発生します。

そして、将来発生する介護費用を現時点で請求するについては、将来の利息分を控除する中間利息控除をする必要があり、金額が低廉となります。

また、介護費用を一括でもらう場合、平均余命により介護が必要な年数を想定して計算するため、それ以上長生きした場合には賠償される介護費用が過少となります。

そのため、損害賠償として介護費用をもらっても、実際に必要な介護費用を賄うことができない可能性が出てきます。

このような場合に備え、定期金賠償というものを利用することができます。

これは、一時期による賠償ではなく、将来にわたり定期的に介護費用などの賠償金を受け取る方式であり、介護費用に関しては広く認められています。

例えば、東京地裁平成28年9月12日判決は、以下のとおり定期金賠償を認めています。

「原告X1の本件後遺障害の程度と看護・介護の具体的内容に加え,原告X1が平成25年12月25日に神奈川リハビリテーション病院を退院して以降,原告X2や原告X1の両親らが原告X1の看護・介護に当たっており,月に23日程度の訪問介護と月に20日程度の訪問看護を利用していることからして,原告X2が67歳に達する平成58年8月までは,家族による在宅看護・介護に加え,上記の頻度による職業看護・介護を利用し,それ以降は,全ての看護・介護について職業人に依頼する蓋然性が認められる。そして,上記1(8)及び弁論の全趣旨によれば,その期間における家族による看護・介護費用は月額24万円(8000円×30日),職業看護・介護費用については,原告X1は,月に23日程度の訪問介護及び月に20日程度の訪問看護を要するものといえ,その利用料は月額1万7000円が相当と認められる。したがって,平成58年8月までの将来の看護・介護費用として,月額25万7000円(24万円+1万7000円)を要するとするのが相当である。」
「他方,平成58年9月から原告X1の死亡した日の属する月の前月までは,全ての看護・介護について職業人に依頼するものとして,それらの費用として月額48万円(1万6000円×30日)を要するとするのが相当である。」
「よって,原告X1の将来の看護・介護費用は,口頭弁論終結日の翌日である平成28年6月14日から平成58年8月まで(ただし,原告X1が死亡した場合は,死亡した日の属する月の前月まで)1か月25万7000円の割合による金員を,平成58年9月から原告X1が死亡した日の属する月の前月まで1か月48万円の割合による金員を毎月末日限り支払うべきこととするのが相当である。」

このように、同判決は、ある時期までは家族による介護、ある時期以降は職業介護人による介護が行われると想定し、時期により介護費用が異なるとした上で、将来にわたり定期的に介護費用を払うべきことを命じています。

なお、当該訴訟では、物価変動を考慮して定期金の自動改訂がなされるべきとの主張がなされています。

しかし、裁判所は、物価変動があった場合に判決を変更する訴えを提起することができるとして、自動改訂を認めませんでした。

必ずしも定期金賠償が常に有利とは限りませんが、それでも定期金賠償は有力な選択肢として検討する必要があります。

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