側溝転落と自治体の責任

交通事故

1 側溝転落と自治体の責任

人が側溝に転落した場合に、付近道路の設置・管理者である自治体に賠償責任が認められる事例はたまにあります。

近年では、福島地裁平成30年9月11日判決が、福島市に対し、市道脇の側溝に転落した歩行者に対する賠償を命じていますので、ご紹介します。

まず、同判決は、「当該営造物の利用に付随して死傷等の事故の発生する危険性が客観的に存在し、かつ、それが通常の予測の範囲を超えるものでない限り、管理者としては、上記事故の発生を未然に防止するための措置を講ずる必要があり、上記のような事故防止措置を欠いたときには、特段の事情がない限り、公の営造物の管理に瑕疵があるというべきである」との一般的基準を示します。

これは最高裁昭和55年9月11日判決の示した基準です。

道路などを設置する自治体としては、危険性があり、それが予測できる場合には、事故発生の対策を講じなければならないし、講じない場合には通常は賠償責任を負うということです。

その上で、同判決は、問題となった側溝は、高さ最大90センチメートル、幅1・2メートルで存在し、歩行者が不意に落ちれば身体に相当の衝撃が加わり生命身体に対して危険が大きいこと、福島市内で同じ程度の高さの側溝でも転落による死亡事故が発生していること、現場が彎曲しているため夜間は側溝の状況を把握しづらいことなどを取り上げ、「本件道路は、本件事故当時、歩行者が夜間に通行する際に本件側溝に転落し、負傷する事故が発生する危険性が客観的に存在」したと判断しました。

そして、同判決は、ポストコーンの設置をすることにより事故を回避することができたのに、それをしなかったなどとして、転落防止のための対策を講じていなかったとしました。

以上を踏まえ、福島市について、道路の管理に瑕疵があったとし、賠償責任を認めました。

他方、「原告も道路を通行する歩行者として、本件道路やその周辺の状況に応じて自らの安全にも注意して通行すべき」であったが、彎曲して見通しが悪い本件道路を通行するなどした点に相応の過失があったとして、4割の過失相殺を認めました。

側溝転落事故は重大な被害を生じる可能性のある事故類型です。

そのため、自治体においては、事故を未然に防止するため措置を取る義務がありますし、それを怠った場合には一定割合の賠償責任が生ずることになります。;

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