セールスドライバーの過労死

熊本地裁令和1年6月26日判決は、セールスドライバーの過労死を労災と認定しました。

参考になるものと思われますのでご紹介します。

このセールスドライバーはクモ膜下出血で死亡しました。

同判決は、被災労働者の発症前1ケ月の時間外相当時間は102時間、発症前1週間の時間外労働時間は41時間34分であるとしています。

また、セールスドライバーについて、同僚が年を取ったらできないくらい大変な仕事である、発症時期は繁忙期であると述べていることを踏まえ、判決は、「セールスドライバーの業務内容は、長時間の運転業務を伴う配達・集荷作業等といった一般的に肉体的・精神的負担が大きい業務と考えられる」として、労働時間以外の負荷も相当程度に過重であったとしました。

結果として、裁判所は、クモ膜下出血に業務起因性があるとして、労災と認定しました。

このように、セールスドライバーという職種について、一般的に肉体的・精神的負担が大きい業務として認定したことは、セールスドライバーにかかわるほかの労災事件においても影響を有すると考えられます。

なお、同判決では、上記の前提となる労働時間の認定の仕方についても参考になるものです。

被災労働者が所属していたセンターにおいて、昼休憩時間中の労働時間は平均44分でした。

そして、被災労働者の取扱い荷物量は、他のドライバーとほぼ同じでした。

そのため、裁判所は、被災労働者は、昼休憩時間中に、他の労働者と同様、44分は労働していたとみなしました。

その結果、上記の労働時間認定に至ったものです。

労働基準署長側は、証人において昼休憩中に被災労働者が働いていた様子がなかったと述べていたことを踏まえ、昼休憩中に被災労働者は労働していなかったと主張しましたが、裁判所は前記のところを踏まえ、労働基準監督署長側の主張を排斥しました。

このように、平均的な労働時間と平均的な業務量から該当する被災労働者の労働時間を割り出す手法はセールスドライバー以外の労働者についても適用可能であり、参考になる手法と考えます。

また、このようにある程度客観的な手法により労働時間が推認される場合に、労働環境が適切だったと証言する動機のある証人よりも客観的な手法により推認される労働時間の方が信用できるとしたのは極めて妥当な判断だったと言えるでしょう。

労災や過労死でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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