
1 2年以上の別居と離婚請求
当事者間で離婚の合意が成立しない場合、離婚を求める当事者としては離婚を求める訴訟を起こし(その前に調停を経ることが必要です)、離婚事由があると判断されなければなりません。
婚姻関係が破綻している場合には通常は離婚が認められます。
別居期間が長い場合にはそれだけで離婚が認められることがあります。
2~3年の別居期間が離婚が認められるための目安と思われますが、一概には言いにくい部分もあります。
裁判官の主観でかなり違ってくる部分もあると思われます。
横浜家裁平成31年3月27日判決は、別居期間2年以上で離婚を認めませんでした。
近時の裁判例として一定の参考になると思われますので、ご紹介します。
この事案で、夫婦の結婚は平成21年でした。
2人の間には平成22年、平成25年にそれぞれ女の子が生まれています。
妻は、夫がゲーム課金やデリヘル利用などにより浪費や不貞をしたため、離婚事由があると主張していました。
そして、裁判所は、「約33万円余のゲーム課金については,クレジットカード代金の引落しができない事態に至ったことからみても,明らかに浪費と認められ,また,ほぼ同時期である平成28年12月のデリヘルの利用についても,浪費に当たると認められる。」として、浪費の存在を認めました。
しかし、同判決は、離婚事由と評価するほどの浪費や不貞があったとは言えないとしました。
その上で、同判決は、「原告は,平成29年1月11日にゲームの課金が発覚した後,同年2月5日に別居し,同年3月までには弁護士に離婚問題を相談し,程なく離婚調停を申し立て,不成立となった後に本件訴訟を提起しているが,上記(1)セないしチのとおり,その間,被告が一貫して不誠実な対応を続けていたとは認められず,むしろ,婚姻費用等を巡って感情的な対立が一時期あったとはいえ,被告は基本的に関係修復を望み,被告なりに誠実な対応を続けてきたとみるのが相当である。以上に併せ,婚姻から別居までの同居期間は約7年3か月に及び,両者間には未だ8歳と5歳の2人の子があること,別居期間は未だ約2年に止まることを総合考慮すると,原告と被告の婚姻関係が現時点で破綻しているとは認められず,問題となった家計管理のあり方等を含め,両者が改めて真摯に協議することにより,関係が修復される余地は十分あると認められる。」として、婚姻関係の破綻、離婚を認めませんでした。
ここでいう「誠実な対応」とは、婚姻費用を払ってきたものを指すと思われます。
このように、同居期間が7年3ケ月であること、2人の未成熟子がいることなどから、別居期間が2年にわたっていることを踏まえても婚姻関係が破綻しているとはいえないとしたものです。
一定の浪費や不貞類似行為があったことを踏まえると、離婚が認められる可能性も当然ある事案と思いますし、高裁で判断をするとしたら別居期間がさらに長くなることも踏まえ違う結論となることもありうるところかと思います。
それはおくとして、別居期間と婚姻関係の破綻の関係について参考になるところの大きな裁判例かと思います。
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