自動車改造費の賠償(交通事故)

交通事故

1 重度後遺障害と自動車改造費用の損害賠償請求

交通事故で後遺障害が残り、通常の自動車に乗車するのが困難となった場合、自動車改造費の賠償が認められることがありえます。

例えば、交通事故の事例ではありませんが、大阪高裁平成29年12月15日判決は、両下肢機能全廃,両上肢機能障害及び神経因性膀胱直腸障害の後遺障害のある被害者について、以下のとおり述べ、自動車購入費・改造費として12,331,316円の賠償を認めています。
「控訴人Aは、体温調節が出来なくなったため温度を一定にする必要があり、また、自ら排尿や排便を制御することが出来なくなったため、控訴人Aが移動するには車いすのまま乗れる自動車が必要不可欠であった。
自動車を購入し、その購入費として2,685,300円かかった(甲53の1~3)。
また、将来、控訴人Aが生活していくためには自ら運転できる自動車が必要不可欠であり、その改造費として1,055,430円かかる(甲54の1~3)。
このように自動車改造費として3,740,730円、その耐用年数を7年とすると、症状固定時の平均余命年数は60年(平成23年簡易生命表)であるから、8回買い替えることになる。
前述した(6)の①・③同様に算定すると、将来にわたる自動車購入費・改造費は12,331,316円(算定式:3,740,730円×3.2965)となる。」

 

このように、車椅子のまま乗れる自動車の購入、障害があっても運転できるようにする自動車の改造費、耐用年数7年とした上での平均余命までの買い替え費用の賠償が認められています。

また、大分地裁平成23年3月30日判決は、第7頚椎節以下完全四肢麻痺等の後遺障害が残った事例について、手動運転装置をつけるしかなくなったとして、自動車改造費56万2000円、将来の自動車改造費として41万7136円の賠償を認めました。

同判決は、耐用年数6年として、推定余命まで8回の将来改造費を認めています。

このように、障害のため通常の自動車に乗ることができなくなったために自動車の改造などの費用が認められる場合であっても、自動車の耐用年数について必ずしも統一的な基準がないため、将来の買い替えや改造費については裁判所によって判断が違ってくる可能性は否定できません。

統計などを用いてできるだけ短い期間の耐用年数を認めさせることが重要となります。

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