葬儀費用(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

交通事故で被害者が亡くなられた場合、葬儀費用が賠償の対象となります。

一般的には150万円が目安とされますが、それ以上の賠償が認められることもあります。

例えば、東京地裁平成20年8月26日判決は、以下のとおり述べ、葬儀費用250万円の賠償を認めました。

「原告X1が葬儀関係費として181万2240円を負担したことは,当事者間に争いがなく,証拠(甲24の2の1ないし8,24の3の1ないし3,24の4ないし7,24の8の1ないし3,24の9,24の10の1ないし40,24の11の1ないし10,33の2ないし12及び14ないし19,36)によれば,原告X1は,Aの葬儀等につき総額250万円を超える支出をし,また,原告X2及び原告X3も,Aの葬儀等につき40万円を超える支出をするとともに,墓地及び墓石の購入等につき400万円を超える支出をしたことが認められるところ,既に認定したAの身上や本件事故の態様等に照らし,Aの親族において墓地及び墓石の購入を含めたAの葬送等に関して十分に手厚く対応しようとしたことには無理からぬところがあることを考慮すると,賠償の対象として認められる範囲としては,250万円をもって相当というべきであり」

なお、同判決は、被害者の身上について、以下のとおり述べています。

「Aは,昭和46年○月○○日に生まれ,本件事故の発生した当時に34歳であったこと,Aは,平成7年にD大学法学部を卒業し,株式会社Eに約5年勤務して広報関係の業務に従事した後,平成12年9月から外資系の広報会社であるFに勤務し,平成14年1月ころから,我が国における大規模な監査法人の一つであるC’監査法人(平成16年にC監査法人と合併)に勤務し始めて,企画,広報等の業務に従事していたところ,平成14年8月に原告X1と婚姻をし,本件事故が発生する前年である平成16年には給与・賞与として726万9524円の収入を得ており,平成17年に組織変更に関連して理事長の事実上の直轄部署である広報室に異動し,これに伴って,弁護士資格を取得すべくかねて準備をしていた同年の法科大学院入学のための試験を受けることを見合わせたもので,同監査法人内においてその能力等につき評価を得ていたほか,選挙情勢にも詳しく,三鷹市議会議員選挙に立候補した友人の選挙運動をしたことがあって,原告X1に対して自らも公職に立候補する考えがあることを述べたこともあることが認められる。」

また、事故態様については以下のとおり述べています。

「本件事故は,被告Y1がオートマチック車である被告車を運転中にアクセルペダルを踏んだままギアを入れ替える操作をしたため被告車を急発進させてAに衝突させたもので,被告Y1の一方的な過失により発生したものであることは,当事者間に争いがなく,証拠(甲1,2,11,15,16)によれば,被告Y1は,オートマチック車の運転に慣れていなかったところ,本件事故の発生した現場の道路は幅員約2.7メートルの車道の左側に幅員約0.95メートルの路側帯設けられた一方通行のもので,被告車をいったん駐車させた前方には少なくともAを含め3名の歩行者がいたにもかかわらず,後方の自動車の運転者から発進するように言われ,気がせいて,アクセルペダルを踏んだままギアを入れ替える操作をしたため,被告車を急発進させ,その後も動揺してアクセルペダルを踏み続けたまま被告車を走行させて,前方約9.8メートルの地点にいた歩行者に時速約25キロメートルで衝突させた後,更に約14メートル前方の路側帯内の地点にいたAほか1名にその後方から時速約45キロメートルで衝突させて,Aを被告車の底部に巻き込んでれき圧しつつ引きずるなどした」

以上によると、それなりの社会的地位にある人であったこと、加害者に一方的過失があったことが葬儀費用が高額になった根拠とされているようです。

他方、さいたま地裁平成24年1月31日判決は、以下のとおり述べた上で、葬儀費用250万円の支払いを命じています。

「亡Aは春の交通安全運動に際し交通安全協会役員として街頭指導活動に従事中に本件事故に遭ったものであり,そのためさいたま県警察は亡Aを警察協力殉職者として取り扱っていること,そのため原告X1としては亡Aについて恥ずかしからぬ葬儀を営む必要があったと推認されること,現実にも原告X1は亡Aの葬儀のために500万円を超える費用を支出していること,以上の事実が認められるから,亡Aの葬儀費用について,原告X1の損害として250万円を認めるのが相当である。」

同判決も、被害者の社会的地位などを踏まえ葬儀費用250万円を認定しているようです。

その他、死亡場所と居住場所が離れていて2回葬儀を行う必要があった場合などに高額な葬儀費用が認められる傾向にあるようです。

 

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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