視野に障害のある運転手の交通事故について重過失があるとされた事例

交通事故

交通事故で被害者にも過失があった場合、過失相殺がなされます。

この過失相殺がなされる割合を過失割合と言います。

この過失割合は、加害者・被害者それぞれに関わる事情、道路状況等を加味して判断されます。

加害者に重過失があるとされる場合には加害者の過失割合が20パーセント程度増やされることとなり、単なる過失か重過失かが問題となる場合もあります。

この点、旭川地裁平成30年11月29日判決は、視野障害があり、自己が注目している部分の周辺以外はほとんどみえていない加害者において認識していた運転者が引き起こした交通事故について、視野が狭いのにあえて運転していたことをとらえ過失割合を2割増しとしています。

同判決は具体的には以下のとおり述べています。

「被告は、両眼共に進行した求心性視野狭窄であり、被告の視野は非常に狭く、自己が注目している部分の周辺以外はほとんど見えていない状況であり、被告が自動車を運転するのは危険であったといえる」

「その上、被告は、本件交通事故以前に、担当医師から自動車の運転が困難である旨伝えられており、自らの視野狭窄が重度であり自動車の運転が困難であるほどの病状であることを認識していた」

「そうすると、被告は、自動車の運転を控えるべきであったといえるし、仮に運転するにしても、より慎重に安全確認を行なうべきであったにもかかわらず、被告対面信号が青色であることを確認し、被告車を発進させるに当たり、右方確認を怠っており、この過失は、重いといわざるを得ない」

「なお、重過失の例としては、一般的に酒酔い運転(道路交通法117条の2第1号)等があるところ、本件における被告による運転の危険性の高さや危険性の認識等を踏まえると、酒酔い運転がなされた場合に匹敵するものとして取り扱うのが相当であると考えた」

このように視野狭窄であり、運転が困難であることを知りながら運転したことは酒酔い運転にも匹敵するものとして重過失を認めています。

この事例自体は視野狭窄に関するものです。

しかし、同裁判例の趣旨を推し及ぼすと、他の障害のため適切な運転をなしえない場合において、加害者がそのことを知っていた場合にも重過失としうる可能性が出てくると思われます。

社会問題となっている認知症の方が加害者となる交通事故の場合に重過失を認める根拠にもなりうるでしょう。

そのような意味で射程範囲の広い裁判例と思われます。

交通事故や過失相殺でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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