熱中症事故と労災

さいとうゆたか弁護士

1 ひらパーでの熱中症事故

報道によると、28日、枚方市の遊園地である、ひらかたパークで着ぐるみを着ていたアルバイトの男性が熱中症で死亡したとのことです。

まずはお悔み申し上げます。

熱中症については、部活中や労働中の事故が頻発しており、使用者の安全配慮義務違反を認めた裁判例も多くあります。

私自身も熱中症が原因と思われる労災事件の担当をし、賠償責任を認める和解を実現したことがあります。

労働の分野では、厚生労働省が「職場における熱中症予防対策マニュアル」を公表するなどしていますので、この内容が安全配慮義務の内容となると考えられます。

ですから、これに違反すると違法の問題が出てくると思われます。

同マニュアルの内容の要旨は以下のとおりです。

・高温多湿作業場所では発熱体と労働者の間に熱を遮ることのできる遮蔽物を設ける

・直射日光を遮ることができるよう簡易な屋根を設ける、ミストシャワーを設置する

・冷房を備えた休憩場所を設ける。休憩場所は横になることができる広さを備える

・水風呂など体を適度に冷やすことができる設備をもうける

・水分や塩分の補給を容易になしうるように飲料水等の備え付けを行う

・作業時間の短縮、負荷の高い作業を避ける、作業場所を変更する

・計画的に熱への順化を行う

・自覚症状以上に熱中症が進行していることがあるので、自覚症状の有無に関係なく、作業前後・作業中の水分摂取をうながす

・熱を吸収しやすい服装を避ける

・定期的に水分や塩分を摂取しているかどうかや労働者の状態について巡視を行う

ひらパーでは、着ぐるみを着ることが業務の本質だったと思われ、熱を吸収しやすい服装を避けることは容易ではなかったと思われます。

また、梅雨明けで順化が十分でなかった可能性もあると思われます。

しかし、被災された労働者はダンスの練習中だったということであり、練習する環境が熱を避けた環境だったのか、練習時間に配慮していたのかなどが問われると思われます。

また、着ぐるみの場合、外から労働者の健康状態が分かりにくいという特性もあります。

そのような特性を踏まえ、一定の時間毎に着ぐるみを脱がせたり、話を聞くなりして健康状態を確認することが必要だったと思われますが、そのような配慮の有無も問題となるでしょう。

熱中症は対策次第でかなり防ぐことができるものです。

これからしばらく高温が続くと見込まれます。学校や職場での適切な対応が求められます。

2 新潟で労災は弁護士齋藤裕にご相談ください

症状固定までの労災保険からの支給内容についての記事

後遺障害が残った場合の労災保険からの支給内容についての記事

死亡の場合の労災保険からの支給内容についての記事

熱中症による死亡と使用者の損害賠償責任についての記事

熱中症と学校の責任についての記事

もご参照ください。

新潟で労災のご相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお任せください。

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