収入を示すものがない被害者の休業損害(交通事故)

交通事故

交通事故で傷害を負い、仕事をすることができなくなった場合、そのことにより収入が減った分を休業損害として加害者に請求できる可能性があります。

多くの人は、源泉徴収票や確定申告書控えなどにより事故前の収入を立証することができるでしょうし、それに応じた休業損害を請求できるでしょう。

しかし、中には源泉徴収をされていない、給与明細も発行されていないなどの事情で事故前の収入、ひいては休業損害を立証することが困難なケースもあります。

そのような場合でも、裁判所が統計や推認を活用するなどして、一定の休業損害を認める場合があります。

例えば、東京地裁平成10年11月4日判決は、以下のとおり述べ、賃金センサスという統計から休業損害額を認定しています。

まず、同判決は、以下のとおり述べ、被害者が出納帳に基づき自己申告した額での収入を認めませんでした。

「原告は、源泉徴収を受けておらず、確定申告もしていない(証人B、原告本人)。したがって、現実収入の認定においては、それらに匹敵する厳格な証拠が必要であるというべきところ、先の金銭出納帳は、作成経過及び内容について不明朗な点が多く、この記載内容を採用するには躊躇せざるを得ない。そうすると、原告本人の供述及び陳述書の記載内容のうち、本件事故当時、原告が、月額五〇万円以上の収入を得ていたとの部分も直ちには採用することはできない。」

出納帳でも収入や休業損害が認定されるケースもありうると思いますが、月50万円以上という、かなり高額な収入を認定するにはそれなりに厳格な証拠が必要といえ、出納帳では簡単には収入認定はできないといえるでしょう。

その上で、同判決は、被害者が7、8人従業員がいる店舗で店長をしていたこと、被害者が「仕入れ、接客、調理、アルバイトの管理、帳簿の記載等のあらゆる仕事をしていた。」との前提事実を踏まえ、以下のとおり、賃金センサスによる収入額を前提とする休業損害を認めました。

「このように、原告の現実収入に関する正確な数字は定かでないものの、(1)で認定した業務内容からすると、少なくとも、昭和六三年賃金センサス産業計・学歴計・高卒男子二五歳から二九歳の平均賃金である年間三三一万五六〇〇円を下らない収入を得ていたと認めるのが相当である。」

このように、稼動実態がある場合には賃金センサスにより休業損害が認定されることもあるので、源泉徴収などされていない場合でも諦める必要はないということになります。

 

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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