減収がなくとも休業損害は認められるか(交通事故)

交通事故

1 減収がなくとも休業損害は認められるか

交通事故により傷害を負い、仕事ができなくなり、収入が得られなくなると、休業損害が賠償される可能性があります。

そして、例外的な場合ではありますが、収入が減らない場合であっても休業損害の賠償が認められることはあります。

大阪地方裁判所平成25年12月3日判決は、以下のとおり述べ、休業による減収がないにも関わらず、休業損害を認めています。

「この時期には原告はAの仕事に復帰しており,かつその後症状固定までの間,原告は事故前とさほど変わらない給料を得ていたものと認められる。そうすると,当該期間について原告に金銭的な減収が直接発生していたとはいえない。」
「しかしながら,本来は休業等により減収が発生してもおかしくない状況において,本人や同僚の特段の努力によって減収を回避した場合には,一定の割合で休業損害の発生を認めるのが公平に資するものであるところ,原告は福祉施設の送迎運転手であり,その運転や車内管理を慎重に行う必要があったが,職務復帰後,特に車内管理について相当な問題が生じ,本人の努力や同乗していた同僚の努力や配慮によって弊害が相当程度カバーされていた状況が認められる。そうすると,原告については一定の範囲で休業損害に準ずる損害の発生を認めるべきであり,その割合は諸般の事情に照らして30%を相当とする。」

このように、従来得られていた収入の100パーセントではなく、30パーセントではありますが、事故前と同じ収入が得られていたにも関わらず、休業損害の賠償を認めています。

逸失利益については、実際に収入減となっていない場合でも、被害者の努力により収入が維持されているような場合には、損害賠償を認めている実情があります。

ですから、同判決は、逸失利益の場合と同様に考えているということができ、それなりに理解できる部分もあります。

しかし、減収がないのに休業損害を認める裁判例は少数にとどまります。

逸失利益の場合は、明確な労働能力喪失率が認定されるため逸失利益としてそれに相当する金額について賠償すべきという考慮が働きやすいのに対し、(後日決定される後遺障害等級・労働能力喪失率を超える)休業損害についてはそのような考慮が働きにくいという側面で差が出ているのかもしれません。

いずれにしても、かなり努力をして収入が維持されているような場合、収入減がなくとも休業損害の請求をするということ自体は積極的に検討されてよいと思います。

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