職場での暴行と労働災害(労災)

交通事故

業務中に暴行を受けるなどし、傷害を負った場合でも労災として認定されることがあります。

例えば、大阪高裁平成24年12月25日判決は、以下のとおり述べて、同僚から女性労働者が殺害されたという事件について、業務起因性を認め、労災となるとしました。

労災保険法7条1項1号は,「労働者の業務上の負傷…」につき保険給付の対象とする旨定めており,この「業務上の負傷」とは,それが業務遂行中に(業務遂行性),かつ,業務に起因して(業務起因性)発生したものであることをいうものと解される。」
そして,労働者が業務に起因して負傷又は疾病を生じた場合とは,業務と負傷又は疾病との間に相当因果関係があることが必要であり(最高裁判所昭和51年11月12日第二小法廷判決・裁判集民事119号189頁参照),上記相当因果関係があるというためには,当該災害の発生が業務に内在する危険が現実化したことによるものとみることができることを要すると解すべきである(最高裁判所平成8年1月23日第三小法廷判決・裁判集民事178号83頁,最高裁判所平成8年3月5日第三小法廷判決・裁判集民事178号621頁各参照)。」
このような観点からすると,労働者(被災者)が業務遂行中に,同僚あるいは部下からの暴行という災害により死傷した場合には,当該暴行が職場での業務遂行中に生じたものである限り,当該暴行は労働者(被災者)の業務に内在または随伴する危険が現実化したものと評価できるのが通常であるから,当該暴行が,労働者(被災者)との私的怨恨または労働者(被災者)による職務上の限度を超えた挑発的行為もしくは侮辱的行為によって生じたものであるなど,もはや労働者(被災者)の業務とは関連しない事由によって発生したものであると認められる場合を除いては,当該暴行は業務に内在または随伴する危険が現実化したものであるとして,業務起因性を認めるのが相当である。」
そして,その判断に当たっては,暴行が発生した経緯,労働者(被災者)と加害者との間の私的怨恨の有無,労働者(被災者)の職務の内容や性質(他人の反発や恨みを買いやすいものであるか否か。),暴行の原因となった業務上の事実と暴行との時間的・場所的関係などが考慮されるべきである。」

このように、職場で業務をしているときに暴行などにより死傷した場合には労災となるのが通常とした上で、労災との判断をするための判断要素を列挙しています。

結論的には、上記基準を当てはめ、当該労働者が殺されたことは労災に該当するとしています。

このように、業務中故意行為のため死傷した場合については、通常の過失行為とは異なる適用要件を満たす必要があるので注意が必要です。

 

労災(労働災害)でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です