同性愛者同士の内縁のカップルと不貞慰謝料

さいとうゆたか弁護士

報道でも話題となりましたが、宇都宮地裁真岡支部令和1年9月18日判決は、同棲愛者同士のカップルの夫婦間において、一方が不貞をしたことについて、慰謝料請求を認めています。

LGBTや同性愛者間の法律関係に影響する可能性もあると指摘されているところであり、ご紹介します。

1 同性のカップルについても内縁の場合と同じような法的保護が受けられるか

まず、同判決は、「法律上同性婚を認めるか否かは別論、同性のカップルであっても、その実態を見て内縁関係と同視できる生活関係にあると認められるものについては、それぞれに内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められ、不法行為法への保護を受けうると解するのが相当である」として、同性のカップル間であっても内縁と同視できるようなものについては内縁に準じた法的保護が与えられるものとしました。

ただし、同判決は、同性カップル間には内縁自体は成立しないとしています。

ですから、同判決を前提としても、例えば、同性のカップルが別れる場合財産分与が認められるかどうかは未解決であり、同判決はかなり射程が狭いものと考えられます。

2 内縁と同視できるか

次に、同判決は、約7年間の同性生活、同性婚が法律上認められている米国ニューヨーク州で婚姻登録証明書を取得したこと、日本国内で結婚式・披露宴もしていること、2人が住むためのマンションの購入も進められていた事、第三者からの精子提供も受けていたことから、2人は内縁関係にあったとしました。

かなり内縁関係に類似する実態があったケースであることが分かります。

よって、同判決によりどの程度同性のカップル間で慰謝料が認められるか、不明といえます。

3 不貞行為の有無

被告は性器の挿入を伴う性行為はしていないと主張し、同判決も挿入までは認められないとしています。

通常の判決は、性器の挿入をもって不貞とみなしていると思われます。

しかし、同判決は、「不貞行為は、挿入を伴う性行為がその典型例ではあるものの、前記・・・のとおり、内縁関係に準じて認められる原告の法的保護に値する利益が侵害されているか否

かが本件の不法行為の成否を左右すると解する以上、必ずしも挿入を伴う性行為を不貞行為の不可欠な要素とするものではないと解するのが相当であり、かかる解釈に立つ以上、被告らが被

告B宅で数日間を共にし、被告Bも認めるキスやペッティング(挿入を除いた性行為)をしたことだけであっても、前記の利益を侵害するものとして不貞行為に当たることは明らかである」

として、キスやペッティングだけでも不貞となりうるとしています。

異性間の婚姻関係をめぐるケースでも、少数ながら挿入行為がなくとも不貞に該当するとしているものはあります。

ですから、特段新しい判断が示されたものではありませんが、同性のカップル間における不貞を考える上で参考になるものと思われます。

 

以上のとおり、今回の判決は、かなり特殊なケースについてなされており、同性間のカップルのうちどの程度の人々に適用されるものか、疑問もあります。

また、不貞による慰謝料請求以外についてはあまり参考にならない可能性もあります。

そうはいっても、同性間のカップル間において法的保護に値する利益があることを真正面から認めていますので、これをきっかけにより広い範囲で同性間カップルにおける法的保護がなされるようになることが期待されます。

LGBTや同性婚、不貞や不倫に関するお悩みは、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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