組み体操と安全配慮義務

報道によると、神戸市教育委員会は、運動会の組み体操で51人が負傷し受診し、6人が骨折したとのことです。

組み体操については、つとにその危険性が指摘されてきており、裁判所でも問題とされてきています。

例えば、名古屋地裁平成21年12月25日判決は、以下のとおり述べ、学校側は、組み体操の危険性を踏まえ、組み体操において児童を危険から回避等させる注意義務があるとしました。

「本件小学校を設置する被告は,本件小学校における学校教育の際に生じうる危険から児童らの生命,身体の安全の確保のために必要な措置を講ずる義務を負うところ,体育の授業は,積極的で活発な活動を通じて心身の調和的発達を図るという教育効果を実現するものであり,授業内容それ自体に必然的に危険性を内包する以上,それを実施・指導する教員には,起こりうる危険を予見し,児童の能力を勘案して,適切な指導,監督等を行うべき高度の注意義務があるというべきである。」
「そして,4段ピラミッドは,前記1(3)のとおり,最上位の児童は,2m以上の高い位置で立ち上がる動作を行い,かつ,安定するか否かは,3段目以下の児童の状況にかかってくるもので,落下する危険性を有する技であるから,指導をする教員は,児童に対し,危険を回避・軽減するための指導を十分に行う注意義務があると共に,最上位の児童を不安定な状況で立たせることがないように,最上位の児童を立たせる合図をする前に,3段目以下の児童が安定しているか否かを十分確認したり,不安定な場合には立つのを止めさせたりし,児童が自ら危険を回避・軽減する措置がとれない場合に補助する教員を配置するなどして児童を危険から回避させたり,危険を軽減したりする注意義務があり,これらの義務を怠った場合には過失があるというべきである。」

その上で、同判決は、以下のとおり述べ、児童が不安定な状態にあることを察知し、適切な対応をすべきであったのに、それを行なわなかったとして、学校側に注意義務違反を認めました。

「本件事故の際,A1が,本件4段ピラミッドの3段目以下の児童の不安定な状況を適確に把握して,合図を出すのを止め,あるいは,A1らが,本件4段ピラミッドの付近に教員を配置し,上記の状況を把握して組立てを途中で止めさせていれば,原告は,本件4段ピラミッドから転落することはなかったものと認められるし,A1らが,本件4段ピラミッドの付近に教員を配置していれば,落下する原告を受け止めたりすることによって,本件負傷を防ぐことができたものと認められる。」

神戸市で事故が多発していることからすれば、判決が指摘したような安全対策も実施されていない可能性があるといわざるを得ません。

組み対応については、漫然と続けることをやめ、子どもの安全優先で実施するかどうか慎重に考えるべきです。

 

学校事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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