別居期間7年以上でも婚姻関係が破綻していないとされた事例(離婚)

離婚問題

当事者が離婚に合意しない場合、婚姻関係が破綻しているなどの事情がなければ裁判上離婚は認められません。

そして、別居期間が長い場合、婚姻関係破綻が認められやすくなります。

婚姻期間などの事情にもよりますが、別居を2から3年間程度すると婚姻関係が破綻したとされ、裁判上離婚が認められる可能性が高くなります。

しかし、東京高裁平成30年12月5日判決は、以下のとおり述べ、7年以上の別居期間がある夫婦について、婚姻関係の破綻を認めませんでした。

判決は、以下のとおり述べます。

「婚姻も契約の一種であり,その一方的解除原因も法定されている(民法770条)が,解除原因(婚姻を継続し難い重大な事由)の存否の判断に当たっては,婚姻の特殊性を考慮しなければならない。殊に,婚姻により配偶者の一方が収入のない家事専業者となる場合には,収入を相手方配偶者に依存し,職業的経験がないまま加齢を重ねて収入獲得能力が減衰していくため,離婚が認められて相手方配偶者が婚姻費用分担義務(民法752条)を負わない状態に放り出されると,経済的苦境に陥ることが多い。また,未成熟の子の監護を家事専業者側が負う場合には,子も経済的窮境に陥ることが多い。一般に,夫婦の性格の不一致等により婚姻関係が危うくなった場合においても,離婚を求める配偶者は,まず,話し合いその他の方法により婚姻関係を維持するように努力すべきであるが,家事専業者側が離婚に反対し,かつ,家事専業者側に婚姻の破綻についての有責事由がない場合には,離婚を求める配偶者にはこのような努力がより一層強く求められているというべきである。また,離婚を求める配偶者は,離婚係争中も,家事専業者側や子を精神的苦痛に追いやったり,経済的リスクの中に放り出したりしないように配慮していくべきである。ところで,第1審原告は,さしたる離婚の原因となるべき事実もないのに(第1審原告が離婚原因として主張する事実は,いずれも証明がないか,婚姻の継続を困難にする原因とはなり得ないものにすぎない。),南品川に単身赴任中に何の前触れもなく突然電話で離婚の話を切り出し,その後は第1審被告との連絡・接触を極力避け,婚姻関係についてのまともな話し合いを一度もしていない。これは,弁護士のアドバイスにより,別居を長期間継続すれば必ず裁判離婚できると考えて,話し合いを一切拒否しているものと推定される。離婚請求者側が婚姻関係維持の努力や別居中の家事専業者側への配慮を怠るという本件のような場合においては,別居期間が長期化したとしても,ただちに婚姻を継続し難い重大な事由があると判断することは困難である。第1審被告が話し合いを望んだが叶わなかったとして離婚を希望する場合には本件のような別居の事実は婚姻を継続し難い重大な事由になり得るが,話し合いを拒絶する第1審原告が離婚を希望する場合には本件のような別居の事実が婚姻を継続し難い重大な事由に当たるというには無理がある。したがって,婚姻を継続し難い重大な事由があるとはいえないから,第1審原告の離婚請求は理由がない。」

このように、離婚請求をする側が離婚についての協議を拒否したまま離婚請求をした事案において、7年間以上の別居があっても婚姻関係が破綻しているとは言えず、離婚は成立しないとしました。

協議次第では復縁の可能性もありえないではないので、協議がないままの離婚請求の場合、別居期間が長くても婚姻関係破綻とはいえないとの考えは一理あります。

ただし、別居後7年を経ても婚姻関係破綻を認めないのはかなり例外的なケースに限られると思われます。

同判決からは、何ら離婚協議もなされないような場合、それが離婚請求に否定的な影響を及ぼすことがありうるという教訓を得ることは可能かと思います。

 

離婚でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です