未払い賃金 時効期間は5年とすべき

1 未払い賃金の時効期間は5年とすべき

日本経済新聞電子版は、10月20日、「厚生労働省は働き手が企業に未払い賃金を請求できる期間について、現行の2年を3年に延長する検討に入った。2020年4月の改正民法施行で賃金に関する債権の消滅時効が原則5年となるのに対応する。労働者の権利を守るため将来は5年への延長を視野に入れつつ、企業経営の負担が過大にならないよう、まずは3年への延長で制度改正の実現をめざす。」との報道を行いました。

現在、労働基準法115条は、「この法律による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」としています。

ですから、賃金債権が、原則時効期間が5から10年である一般の債権より早く時効消滅するということになります。

このように、一般の時効期間より短い時効期間を定めるものとしては、民法170条から174条に定めるものがありました。例としては、飲食店でのツケは1年で時効になるというものがあります。

しかし、今般の債権法改正にあたり、「時代の変化によって職業や契約内容が多様化し、列挙されたものに隣接する類型の職種等が生じたことにより、短期消滅時効の適用を受ける債権であるか否かの判断が困難となっているという問題」があること、「時代の変化に伴い、列挙されている債権とその他の債権との時効期間の差異を合理的に説明することが困難になってきているという問題もある」ことから、民法170条から民法174条は削除され、時効は原則5年に統一されます。

例外的に、不法行為による損害賠償請求権(人身にかかるものを除く)については、時効期間が3年にすえおかれます。

これは、「不法行為に基づく法律関係が、通常、未知の当事者間に、予期しない偶然の事故に基づいて発生するものであり、加害者は極めて不安定な立場におかれることから、被害者において損害及び加害者を知りながら相当の期間内に権利行使に出ないときには、損害賠償請求権が時効にかかるものとして加害者を保護する」ためです。

しかし、労働契約に基づく賃金請求権については、かなり濃厚な人間関係をベースとした契約に基づき発生するものですから、時効期間を3年とする合理性はありません。

企業経営の負担が過大になるという理由付けも、賃金を契約や法律どおりにきちんと払うことが過大な負担とは評価できないことからすると、不合理なものと考えます。

何より、いくら残業代などの賃金の未払いをしても、後から追及される可能性があるのが3年分のみ、しかも未払いとなった労働者全員が常に請求するとは限らないことからすると、賃金未払いとした方が経営者にとって得になりかねません。

これでは残業をさせても残業代をまともに払う必要もないことになり、残業代が残業を減らす動機付けにもなりにくいことになります。

これは働き方改革の理念にも反するのではないでしょうか。

せめて他の債権と同様に未払い賃金の時効期間は5年とすべきです。

2 新潟で残業代など賃金請求のお悩みは弁護士齋藤裕へ

パソコンのログ記録による労働時間の認定についての記事

タクシー運転手の残業代についての最高裁判決についての記事

名ばかり管理職の残業代についての記事

固定残業代についての最高裁判決についての記事

退職代行についての記事

もご参照ください。

残業代や賃金請求でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

 
<a href=”https://www.saitoyutaka.com/”>さいとうゆたか法律事務所トップ</a>はこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です