cookieと個人情報保護

さいとうゆたか弁護士

最近、公正取引委員会がcookieを利用者の同意なく収集することについて独占禁止法に違反するとの扱いをする方向で検討をはじめたとの報道がなされています。

また、リクナビによる内定辞退予測モデルにおいてもcookieが利用されていたと報道されているところです。

従来からcookieと個人情報保護の関連は問題とされてきましたが、ここ最近、問題性が深くなってきているといえます。

そもそもcookieとは、あるページを訪問などした記録をウェブブラウザに保存する仕組みです。

これがあるために、あるページを再度訪れた際に、以前の続きから情報を閲覧できるなどのメリットが生じます。

他方、cookieによっては複数のサイトにおける利用者の行動を追跡することが可能であり、プライバシー侵害との指摘もあります。

このようなcookieですが、個人情報保護法との関係では規制対象とならないという理解が一般と思われます。

個人情報保護法は以下のとおり規定します。

 第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
 あくまで個人が識別されるものが個人情報であり、個人情報保護法の規制対象です。
 ですから、個人が識別されるわけではないcookieは個人情報には該当せず、個人情報保護法の対象にはならないということです。
 しかし、現にリクナビ問題でもcookieを利用してプライバシー侵害と評価されうるような扱いがなされていたわけです。
 cookieを利用して特定の個人の閲覧情報が集積されれば個人が特定されることは十分可能でしょうし、その場合には特定個人の思想・消費行動・病歴などが丸裸にされる可能性もあります。
 独占禁止法や個人情報保護法の規制対象とするかどうかはおくとしても、cookieについて速やかな法規制が求められると考えます。

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