夫婦間の取り決め・約束の効力(離婚)

離婚問題

1 夫婦間の取り決め・約束の効力(離婚)

民法754条は、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と規定しています。

これを文字通りとらえると、例えば配偶者の一方が不貞をし、他方に対し慰謝料の支払いを約束した場合でも、そのような約束を取り消すことが可能となりそうです。

しかし、最高裁は、民法754条の効力を制限し、夫婦間の取り決め・契約の効力を簡単には取り消すことができないとしてきました。

この点、東京高裁昭和30年7月8日判決は、以下のとおり述べ、婚姻関係が破綻している時点での取り決めは取り消すことができないとしました。

「民法の、右法条は、本来原則として夫婦関係が通常の状態にある場合に適用せらるべきものと解すべく、前記認定した如く、夫が他の女との関係を絶ち切れずに妻との不和がこうじ、離婚届を妻につきつけて家を出て了ったような、夫婦関係がすでに破綻に瀕している場合には、真に已むを得ざる特別の事由でもあれば格別、然らざる限り適用すべきではなく、ことに本件の場合には控訴人としては、夫婦関係破綻した後には独立して子供を養育しつつ生計を立てるため、従来の営業を続けてゆく上に必要欠くべからざる営業の本拠兼住居である本件建物の贈与を受けたのを、一方的に取消されることは、回復し難い損害を蒙ることとなるのは、容易に推認し得るところである。然らばかかる取消権の行使は、たとえ被控訴人の主張するごとく控訴人が債務を引受けて呉れることを内心的には希望して本件贈与をしたのに、控訴人がこれを引受けて呉れないからということが、動機となつたものとしても、決して正当なる権利の行使ということはできない。」

同判決の内容は最高裁昭和33年3月6日決定でも維持されています。

また、最高裁昭和42年2月2日決定は、取り決め・約束を取り消す時点において夫婦関係が破綻していた場合にはこれを取り消すことができないとしました。

よって、民法754条は、約束をした時点でも夫婦関係が破綻しておらず、かつ、取消し時点でも夫婦関係が破綻していない場合にのみ適用されることになります。

ということは、破綻していない夫婦において裁判沙汰になることは想定しにくいので、民法754法は死文となっているということです。

夫婦間の約束や取り決めも内容によっては法的効力を持つということを念頭に置くことが重要です。

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