借金をしたこと等と慰謝料(離婚)

離婚問題

夫婦の一方が借金をしたとしても、それが生活のために必要なものであれば直ちに離婚原因や慰謝料の原因になることはありません。

しかし、遊興のために多額の借金をした場合、借金について他方の配偶者に説明を尽くさないような場合については、借金をしたことが離婚や慰謝料の理由となることがありえます。

東京地裁平成18年9月15日判決は、借金や家計状況の悪化について妻が夫に十分説明をしなかったという事案において、妻に慰謝料の支払いを命じました。

事案は以下のとおりです。

「平成8年12月,△△△の家主であるCから家賃の支払を督促され,原告は,約190万円の賃料不払が生じていることを知った。しかし,被告は,家賃滞納の理由や実情について,原告に対し具体的な説明をせず,3日ほど家出をしてしまった。原告は,狭山のマンションを売却した前記残金があったはずでもあり,なぜ,賃料の延滞が発生したのか,納得がいかなかったが,被告との関係を考えて,それ以上,説明を求めなかった。」
「結局,△△△の滞納家賃は,被告の兄からの借入金で支払い,原被告一家は,平成9年4月,同じ八王子市内の賃貸マンション「□□□」に転居した。なお,このころから,夫婦間の会話も乏しくなっていった。」
「平成9年9月,原告に心当たりのないカード会社などから,自宅や勤務先に督促の電話が入るようになった。原告が根気強く被告に確認したところ,被告が総額225万8927円をサラ金等から借金していたこと,そのうち,原告の財布から無断で原告名義のクレジットカードを抜き出して借金をした分が4社程あることが判明した。これらの借金については,原告が勤務先から250万円を借り入れ,返済した。」
「この出来事のあと,家計については,原告の給料から食費として8万円を被告が受け取り,そのほかの公共料金や学費等の生活全般のやりくりは,原告がすることになった。被告が受け取る食費は,平成13年4月から10万円に値上げされた。」

 

このような事実関係をもとに、判決は以下のとおり述べます。

「被告が△△△の賃料約190万円を滞納したこと,及び,貸金業者等から約225万円もの借入をしていたこと,その一部は,被告が原告名義のカードを無断で使用したものであることが認められる。この点,被告は,賃料の延滞や多額の借入について,家計に不足があったが,原告と相談することができなかったというだけであり,賃料延滞や多額の借入の真相については,何ら具体的事実を語らない。このような被告の対応や態度は,やはり,夫婦間の協力義務に違背する不誠実なものといわざるを得ない。」
「他方,原告は,賃料延滞の際には,被告の兄から金員を借り受けたり,転居費用を会社から借りたりして賃料を支払うなど,後始末のため尽力したことが認められる。また,貸金業者からの借入についても,勤務先からの借入で返済するなど,被告が借りた借金の整理に努めたことが認められる」
「以上によれば,原被告間の夫婦関係を破綻に導いた責任の過半以上は被告にあったといわざるを得ない。」

最終的には30万円の慰謝料が認められています。

生活費のために借金をしてもただちに離婚や慰謝料の理由とはなりません。

しかし、賃料の延滞や多額の借り入れに至る状況においては配偶者間で相談がなされるべきであり、それがないままなされた多額の借金や借り入れは離婚や慰謝料の理由となりうるといえます。

離婚でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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