未払い婚姻費用の財産分与での精算(離婚)

離婚問題

婚姻費用は、調停などにより請求をしたときから発生するというのが一般的な考え方です。

しかし、この考え方を突き詰めると、調停などにより請求をする以前については、婚姻費用を払うべき者が婚姻費用を払わないまま利得することになりかねません。

そこで、裁判例の中には、未払い婚姻費用を財産分与において精算するものがあります。

東京地裁平成9年6月24日判決は、以下のとおり述べて、未払い婚姻費用を財産分与において精算すべきとしました。

「婚姻関係が破綻した後においても、婚姻費用分担請求権は認められるものであるから、離婚に際しての財産分与において、未払婚姻費用を考慮することは可能である。春子は、婚姻破綻について主たる責任がある有責配偶者とは認められないから、未払婚姻費用を考慮することに何ら支障はない。但し、婚姻費用分担は、本来は婚姻関係を継続することを前提としたものであるから、婚姻関係が破綻して離婚訴訟が係属している場合には、その金額の算定に当たっては考慮が必要である。」

具体的には、以下のとおり計算しています。

「未払額は一一六八万円となる。ところで・・・春子は、平成五年以後、二男の大学授業料として年間一〇〇万円以上の負担をしていることが認められるから、本来は婚姻費用分担金額の算定にあたって右金額を考慮すべきである。また、春子は、母屋の修繕費として約三〇〇万円を支出したと主張しているが、右支出が事実であれば、これも特別の出費として、本来は婚姻費用分担金額の算定にあたって考慮すべきである。なお、春子は、他にも考慮すべき費用を主張しているが、いずれも本来の婚姻費用の一部又は社交儀礼的なものであって、婚姻費用の算定にあたって特に考慮すべきことではない。したがって、本来の婚姻費用未払額は、右金額より多額になる。しかし、もともと婚姻費用分担は、婚姻関係を継続することを前提としたものであり、破綻した夫婦関係においても全額を認めるのは相当でないから、右金額の限度で考慮するのが相当である。」

このように未払い婚姻費用の一部を考慮することを明らかにした上で、清算的財産分与として妻が取得すべきものに未払い婚姻費用分を加算するなどして財産分与額を算定しています。

様々な事情で婚姻費用の請求ができなかった、あるいは遅れたという場合には、財産分与における精算も検討してみてください。

離婚でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

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