新型コロナウイルス感染と労災

さいとうゆたか弁護士

1 新型コロナウイルスと労災

新型コロナウイルスの拡大がとまらず、国内でバス運転手が感染するという事例も報道されています。

業務中に新型コロナウイルスに感染をし、休職などした場合、どのような扱いとなるでしょうか。

まずは労災保険の適用が問題となります。

労働者災害補償保険法は以下のとおり定めます。

第七条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

第十二条の八 第七条第一項第一号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 療養補償給付
二 休業補償給付
三 障害補償給付
四 遺族補償給付
五 葬祭料
六 傷病補償年金
七 介護補償給付

 

ですから、業務上の疾病に罹患した場合、業務災害として、12条の8に定める給付を受けられる可能性があるということになります。

しかし、通常、業務上インフルエンザにり患しても、業務災害としては認められにくいと考えられます。

それは、インフルエンザはありふれた病気であり、業務外で感染した可能性を否定できないからです。

同じ感染症でも、感染経路が限られている感染症であると業務災害として認められやすくなります。

それでは新型コロナウイルス感染症についてはどうでしょうか。

少なくとも現時点では、新型コロナウイルスは国内では数件しか確認されていません。

ですから、

ⅰ 新型コロナウイルスに感染している人と業務上濃厚接触した

ⅱ 中国などの感染者が多数いる国に最近渡航していない

という事情があれば、新型コロナウイルス感染による損害につい業務災害として給付が受けられる可能性はあると考えます。

ただし、仮に今後日本国内で感染者が増えていった場合には事情が異なります。

ⅰ、ⅱの要件を備えた場合であっても、業務外の機会で新型コロナウイルスに感染した可能性が否定できませんので、業務災害と認められるのは簡単ではと思われます。

2 使用者の安全配慮義務違反と損害賠償責任

なお、新型コロナウイルス感染が業務上と認められるような場合、さらに使用者の損害賠償責任の可能性もあるでしょう。

感染者が多数いる地域からの観光客が観光バスに乗るのにも関わらず、体温の確認などの対策を取らず、運転手が新型コロナウイルスに感染したような場合、使用者が安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うということも考えられます。

3 新潟で労災は弁護士齋藤裕にご相談ください

新型コロナと医療従事者の労災についての記事

新型コロナと無給医の労災についての記事

もご参照ください。

労災でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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