柔道部におけるいじめについて共同不法行為として賠償責任を認めた裁判例

1 はじめに

いじめは必ずしも、明確な計画に基づいて行われるものではありません。

そのため、集団によるいじめにおいて(いじめは集団でおこなわれることが圧倒的に多いわけですが)、それが共同で行われたものといえるかどうか評価が困難な場合もあります。

この点、福島地裁平成31年2月19日判決は、私立高校の柔道部におけるいじめにより被害者がうつ状態となったという事件について、加害生徒らによる共同不法行為があったとの認定をしており、参考になると思われるため、ご紹介します。

2 福島地裁平成31年2月19日判決の内容

まず、同判決は、以下のとおりいじめ行為を認定しています。

「『ころす』や『死ね』などの過激な表現が用いられたメッセージを送信したり、原告の母親の再婚前の姓をからかうような呼び方をしたり、上半身裸の原告をからかう内容の動画等をイ

ンターネット上に公開したりするものなど、一般的に被害者に恐怖感や嫌悪感を抱かせるもの、人格を否定するものである上、原告も実際に恐怖や嫌悪を感じていたことに加え、上記のよう

な言動が単発ではなく1年半以上にわたって継続的かつ執拗に行われていたことに鑑みれば、原告と被告らが同じ柔道部の仲間であったこと等の関係性を考慮しても、被告らによる上記一連

の言動は、悪ふざけの限度を超えたいじめ行為に該当するものであり、不法行為を構成する違法なものというべきである」

そのうえで、同判決は、いじめについて、以下のとおり述べ、共同不法行為であったとし、損害について連帯して賠償すべきものとしました。

「被告らは、必ずしもすべての行為を共に行っているわけではないが、被告らはいずれも柔道部に所属し、他の被告のいじめ行為に対して原告が抵抗できないでいる状況を相互に認識した

上で、そのような状況を踏まえて自らも原告に対するいじめ行為に加担していたことからすれば、被告らは、一連のいじめ行為を共同して行っていたものと認めるのが相当である」

このように、他の生徒がいじめをしている状況を踏まえつつ、自らもいじめをしていることをもって、いじめの共同不法行為が成立するとしています。

明確な共同意思が形成されるわけではない集団いじめの特質に照らし、妥当な結論と思われます。

3 最後に

いじめでお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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