ダイヤモンド・プリンセス船内待機による損失は国費で

報道によると、横浜港に停泊中のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗客乗員から新型コロナウイルス感染者が出た関係で、厚生労働省が乗客乗員に船内待機を要請したとのことです。

船内待機を要請する法的根拠はありませんが、船内待機要請に従わないことは事実上想定されないため、かなり強制性が高い要請といえると考えます。

この船内待機により仕事を休まないといけない人も出てくるでしょうし、損失発生が想定されます。

このような損失発生について明確に定めている法律はありません。

しかし、日本国憲法29条3項が「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」としている趣旨からして、ダイヤモンド・プリンセス号の船内待機によって発生した損失については国が補填すべきと考えます。

日本国憲法29条3項は、公共の利益のために市民が特別の犠牲を払わされた場合において補償がなされなければならないという内容の規定です。

どのような場合に「特別の犠牲」があると言えるかは議論のあるところで、一部の人だけが犠牲を課される場合にあるという立場と、強度な制限がある場合にあるという立場とがあります。

しかし、いずれの立場に立つにせよ、ダイヤモンド・プリンセスの乗客・乗員という一部の人が、14日間自由を拘束されるという強度な制限を課されることになるので、「特別の犠牲」はあるとすべきだと考えます。

ですから、船内待機により賃金や売り上げが失われた場合には、公共のために賃金や売り上げという財産が失われるという特別の犠牲を課されたとして、補償がなされるべきものと考えます。

なお、船内待機により自由が拘束されること自体による損害についても日本国憲法29条3項を類推適用して補償すべきという考えもありえます。

しかし、東京高裁平成4年12月18日判決は、予防接種禍に関する判決で、財産以外の損失について日本国憲法29条3項は適用などされないとの判断を示しています。

ですから、ストレートに日本国憲法29条3項により自由が拘束された損失についての補償を求めることにはハードルがあります。

しかし、人身の自由は財産より尊重されるべきこと、日本国憲法40条が刑事補償として適法な身柄拘束についても補償請求権を認めていることの趣旨を踏まえ、感染予防のために船内にとどめおかれた乗客乗員が自由を拘束されたことについて補償する法律制定は検討すべきように思います。

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